メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヤッシャ・ハイフェッツ(1959)
CD(RCA BVCC−37417)

ヤッシャ・ハイフェッツ/ヴァイオリン協奏曲集
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
   (カデンツァ:アウアー〜ハイフェッツ)
   20:30/8:44/8:19(計37分33秒)
2.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                  ホ短調Op64
   10:57/7:01/5:52(計23分50秒)

  ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
  シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団
  録音 1955年11月27&28日(1)
      1959年2月23&25日(2)

 巨匠ハイフェッツがステレオ初期にミュンシュと録音した2つの名演です。メンデルスゾーンは音質がよくなっています。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はハイフェッツ円熟期の演奏で研ぎ澄まされたヴァイオリンは緊張感漂い、ミュンシュの引き出す重厚な響きと相まって壮大な音楽を作っています。ハイフェッツのテンポは速くて第1楽章のスピード感とその素晴らしいテクニックには驚きます。展開部の演奏には舌を巻いてしまいます。カデンツァはアウアーのカデンツァをハイフェッツが編曲したもので傑作です。第2楽章のラルゲットは序奏が大変感動的な響きになっています。テンポは程よいテンポで管楽器とヴァイオリンの対話が素晴らしい演奏です。中間部のヴァイオリン・ソロ、そして弦楽のピツィカートに乗ったソロは感動的です。コーダのカデンツァも磨きのかかった響きが素晴らしい演奏です。第3楽章も速いテンポですが管楽器との対話が素晴らしいです。それにしてもハイフェッツのヴァイオリンは聴けば聴くほどその魅力に引き込まれてしまいます。カデンツァはヨアヒムのカデンツァをハイフェッツが編曲したもので短いですが素晴らしい演奏です。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調はハイフェッツ58歳の時の録音でヴァイオリンの響き、ボウイングの巧みさは素晴らしいものがります。第1楽章のスピード感あふれる演奏はさすがです。カデンツァは絶品。第2楽章のヴァイオリンとオーケストラの調和のとれた響きは最高でハイフェッツのヴァイオリンが大変みずみずしい音に聞こえます。第3楽章は序奏の軽いポルタメントが聴きものです。アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェに入ると管楽器とヴァイオリンが主題を演奏するところが素晴らしいです。速めのテンポですが速さを感じさせないです。24分を切る演奏には脱帽です。胸のすくような名演です。なお録音は1959年になって音質は抜群です。 


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