シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

カミラ・ウィックス(1952)

CD1(Green Door GDCL-0004)
CD2(EMI TOCE-16050)

CD1
1.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47

  カミラ・ウィックス(ヴァイオリン)
  シクステン・エールリンク指揮
   ストックホルム放送交響楽団
  録音 1952年2月18日
CD2
1.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.  〃   /トゥオネラの白鳥Op22−2
3.  〃   /レンミンカイネンの帰郷Op22−4

  カミラ・ウィックス(ヴァイオリン)
  シクステン・エールリンク指揮
   ストックホルム放送交響楽団
  録音 1952年2月18日(1)
      1952年頃(2&3)

 カミラ・ウィックスは1928年生まれのアメリカのヴァイオリニストです。ノルウェー出身の父親にヴァイオリンお手ほどきを受け、1946年に18歳でシベリウスのヴァイオリン協奏曲をカーネギーホールで演奏していました。
 作曲者シベリウスのお墨付きをいただいたカミラのシベリウスはエールリンクのサポートを受け極上の演奏を聞かせてくれます。第1楽章冒頭から魂のこもったヴァイオリンが響きます。多くの録音がある中でこのカミラ・ウィックスの演奏を聞いたら我を忘れてしまいそうです。ヴァイオリンの鳴らし方、音楽性の豊かさ、これが素晴らしい。ともすれば音がかすれそうになるこの協奏曲をかくも完璧にやってくれます。難しい重音などいとも簡単に押さえているようです。数多くこの作品を演奏したカミラだけにツボを心得ているようです。カデンツァをきいても強弱、歌心と音楽性に優れた演奏は絶品。オーケストラに支えられてカミラのシベリウスはこれ以上望めそうもない名演奏になっています。コーダの緊張感は最高です。第2楽章は厚みのあるヴァイオリンが素晴らしい。中間部ではオーケストラが盛り上がりヴァイオリンも十分に響かせています。第3楽章の冒頭のヴァイオリン・ソロはそのアタックが凄いので驚きました。このように演奏したヴァイオリニストは聴いたことないように思います。これならシベリウスも絶賛するでしょう。数多く演奏したカミラが到達した領域なんでしょうか。緊張感と音楽の渦に巻き込まれてしまいます。中間部のオーケストラとの対話で跳ね上がる弓の鮮やかさ、これは絶品です。コーダも緊張感抜群です。こんなシベリウスがあったとは驚きです。同じ作品とは思えないです。
 CD2ではシベリウスの「4つの伝説曲」Op22から「トゥオネラの白鳥」が」演奏されています。エールリンクのシベリウスは淡々としているようにも思えます。やや速めの演奏でイングリッシュホルンの演奏からは寒さに堪えた白鳥がすいすい泳いでいるかのようです。
 「レンミンカイネンの帰郷」は第4曲になります。この作品は勢いのある演奏で実に素晴らしい響きを出しています。エールリンクの指揮棒から引き出されるシベリウスはこれも素晴らしいものです。


トップへ
戻る
前へ
次へ