シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヤッシャ・ハイフェッツ(1959)
CD(RCA BVCC-37054)

1.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                 ニ長調Op35
2.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47

  ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)(1&2)
  フリッツ・ライナー指揮(1)
  ワルター・ヘンドル指揮(2)
   シカゴ交響楽団(1&2)
   録音 1957年4月19日(1)
       1959年1月10&12日(2) 

 ハイフェッツの名盤チャイコフスキーとシベリウスの協奏曲です。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は繊細なヴァイオリンが印象的な演奏です。この演奏は提示部最後にアドリブの入るアウアー版を使っているようです。カデンツァも若干のアドリブが入ります。ピツィカートもありません。このカデンツァは見事な演奏です。第2楽章は弱音器を付けたソロ・ヴァイオリンのしっとりとした響きが美しい。第3楽章は素晴らしいテクニックを見せてくれます。オーケストラとの絡みもよくこの協奏曲を聴く楽しみがあります。さすがに素晴らしい演奏です。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲はピーンと張りつめた緊張感漂う冒頭のヴァイオリンが素晴らしい。間奏のあとにハイトーンで始まるカデンツァは緊張感がありそして巧みな重音と表現力はハイフェッツならではのものです。再現部の迫力は見事なものです。コーダのヴァイオリンは気迫に満ちて素晴らしい演奏です。第2楽章は穏やかな主題がヴァイオリンで奏でられます。このヴァイオリンはヴィブラートがかかって感動的です。中間部では大きな盛り上げ方をみせています。第3楽章は冒頭のヴァイオリン・ソロで力強い演奏が聞かれます。ハイフェッツはヴァイオリンの艶のある響きが時折聞こえてハッとさせられます。オーケストラはソロ・ヴァイオリンを引き立てながら厚みのある響きを出しています。ヴァイオリンの重音が鮮やかでハイフェッツのシベリウスはやはり素晴らしい。コーダのスピード感は凄いです。


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