シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

アイザック・スターン(1969)
CD(SONY SMK66 829)

スターン/ヴァイオリン協奏曲集
1.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                 ニ長調Op35
2.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47

  アイザック・スターン(ヴァイオリン)
  ユージン・オーマンディ指揮  
   フィラデルフィア管弦楽団
   録音 1958年3月23日(1)
       1969年2月7日(2)

 アイザック・スターンのヴァイオリンによるチャイコフスキーとシベリウスのヴァイオリン協奏曲です。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はスターンのきれいな響きのヴァイオリンに始まります。ホールの響きがオーケストラと共にきれいです。なんという美しい演奏でしょうか。展開部では完璧なボウイングで乱れもなく感動的な演奏です。カデンツァは力強い演奏で感動的です。見事な演奏です。再現部の表現力豊かな演奏も素晴らしいです。第2楽章のカンツォネッタは何とも言えないほどのスターンによるヴァイオリンの歌があります。ホルンの響きもきれいです。第2主題もまた素晴らしいもので、チャイコフスキーのメロディーの美しさがあります。この作品はこの楽章に大きな魅力があると感じました。第3楽章は序奏のヴァイオリン・ソロの見事な演奏と速いテンポの主部は良い響きで、オーケストラとの対話もまた聴きどころです。クラリネットやファゴットも良い響きです。ホルンもきれいに響きます。後半の熱のこもった演奏は見事です。速いテンポのオーケストラも素晴らしい演奏です。スターンの演奏はさすがに素晴らしいです。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は第1楽章の冒頭から美しい響きのヴァイオリンで緊張感が伝わってきます。ヴァイオリン・ソロは透明感があり、その奥深い響きと雄大なオーケストラの響きが織りなすシベリウスの音楽は壮大です。まさに北欧の音楽です。ヴァイオリン・ソロの重音がよく響きます。オーケストラの勢いのある演奏もまた素晴らしい。オーマンディの指揮が冴えます。カデンツァは緊張感があり力強い演奏になっています。スターンのボウイングの素晴らしさがあります。後半の演奏もまた厚い響きで、オーマンディの引き出すシベリウスの響きもいいものです。第2楽章のアダージョ・ディ・モルトは抒情的なヴァイオリンの主題が歌われて、やがて劇的な響きの中間部があります。ヴァイオリンとオーケストラが力強く響きます。第3楽章は弾むようなオーケストラの響きとヴァイオリンが圧倒的です。スターンのヴァイオリンのアタックが素晴らしい演奏です。また重音の響きの素晴らしさがあります。スターンのシベリウスの素晴らしさを感じます。オーケストラもよい響きです。


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