シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ナイジェル・ケネディ(1987)
CD(EMI CDC7 49717 2)

1.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2. 〃   /交響曲第5番変ホ長調Op82

  ナイジェル・ケネディ(ヴァイオリン)(1)
  サー・サイモン・ラットル指揮
   バーミンガム市交響楽団
  録音 1987年2月8&9日(1)
      1987年2月21日)(2)

 イギリスののヴァイオリニスト、ナイジェル・ケネディによるシベリウスのヴァイオリン協奏曲とラットル指揮の交響曲第5番です。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は研ぎ澄まされたヴァイオリンが冒頭から響き渡ります。ラットルのサポートもよくオーケストラの響きが素晴らしい。バランスがよくヴァイオリン・ソロがよく響きます。カデンツァは緊張感があり集中力の凄まじさを感じます。ケネディのシベリウスは聴衆をうならせます。後半もラットルが盛り上げてきます。これが実に素晴らしい。第2楽章はアダージョ・ディ・モルトです。オーケストラに支えられてヴァイオリンが美しい主題を奏でます。オーケストラのピツィカートが絶妙でやがて盛り上がりをみせます。ケネディの緊張感のあるヴァイオリンがここは見事です。第3楽章は冒頭から緊張感があり、ヴァイオリン・ソロが力強く演奏されます。ケネディの演奏は完璧です。オーケストラと対等にヴァイオリンを弾ききっています。これは素晴らしいシベリウスです。名演です。
 シベリウスの交響曲第5番はラットルの作り出す響きが文句なしで素晴らしい。木管楽器、そしてティンパニが奥深い響きで理想的です。第1楽章ではテンポの変化がスリリングです。コーダの勢いは素晴らしい。第2楽章は透明感のある響き、木管の調和のとれた響きがきれいです。この楽章も速めのテンポで演奏しています。第3楽章は冒頭の弦楽が大変素晴らしい。ホルンの主題も雄大です。シベリウスの音楽の魅力をたっぷり味わえる名演です。最後の2つの和音はテンポを落として劇的に終わっています。ティンパニの2度打ちが絶妙です。


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