その他のヴァイオリン協奏曲の演奏

ショーソン/ポエム(詩曲)ジネット・ヌヴー(1949)
CD(Music&Arts CD-837)2枚組

ジネット・ヌヴーの芸術
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
2.ラヴェル/ツィガーヌ
3.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
    (カデンツァ:ヨアヒム)
  22:16/9:21/8:15(計39分52秒)
4.ショーソン/ポエム(詩曲)Op25

  ジネット・ヌヴー(ヴァイオリン)(1〜4)
  ハンス・ロスバウト指揮
  バーデン・バーデン南西ドイツ放送交響楽団(1)
  アンタル・ドラティ指揮
   ハーグ・レジデンティ管弦楽団(3)
  シャルル・ミュンシュ指揮
   フィルハーモニー交響楽団(2&4)
   録音 1949年9月ライヴ(1)
       1949年6月10日ライヴ(3)
       1949年1月2日ライヴ(2&4)

 ジネット・ヌヴーのベートーヴェンとブラームスの他に小品が2曲収録されていますが、ブラームスはドラティとの共演でヌヴー最後のブラームス録音です。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は有名なロスバウトとの共演です。2種類しか残っていない録音のひとつでダイナミックな演奏は気迫十分です。カデンツァの演奏は凄いです。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲はドラティとの共演です。全体としての演奏時間は他の録音と大差ありませんが指揮者の違いによるオーケストラの鳴らし方に違いがあって興味深いです。第1楽章冒頭のテンポアップなど実にスリリングです。録音は良いとはいえませんがヌヴーのヴァイオリンは常に気迫に満ちた演奏を繰り広げており、聴く者を引き付ける魅力があります。ノイズが若干ありますが艶のあるヴァイオリンは十分聞こえてきます。第1楽章が終わると拍手が入りますが、思わず拍手したくなる演奏す。第2楽章は序奏のオーケストラに聞きほれてしまいます。ヴァイオリン・ソロのきれいなポルタメントはなんともいえない美しさがあります。第3楽章の冒頭ヴァイオリンの気迫に満ちた演奏が素晴らしく、この演奏の完成度の高さの片鱗を感じます。オーケストラのややこもった音はおいといてヌヴーの変わらぬ演奏スタイルに脱帽です。
 余白の2曲ミュンシュとの共演はラヴェルの「ツィガーヌ」、ショーソンの「ポエム」ともに2つのヴァイオリン協奏曲も吹っ飛ぶほどの超名演です。これほど強烈な印象を与えてくれる演奏はありません。ステレオ録音、デジタル録音数ある演奏の中で、このヌヴーを凌ぐ演奏はほとんどないといって良いでしょう。


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