シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

クリスティアン・テツラフ(2002)
CD(ERATO/WANER WPCS-50761)

シベリウス/ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集
1.ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.2つのセレナードOp69
3.2つの小品Op77
4.2つのユモレスクOp87
5.4つのユモレスクOp89
6.ヴァイオリンと弦楽のための組曲Op117

  クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)
  トーマス・ダウスゴー指揮
   デンマーク国立交響楽団
  録音 2002年2月6〜13日
   デンマーク放送コンサートホール

 ドイツのヴァイオリニスト、クリスティアン・テツラフが録音したシベリウスのヴァイオリンと管弦楽のための作品全集です。珍しい組曲が含まれています。
 ヴァイオリン協奏曲は冒頭から大変美しいヴァイオリンが響きます。オーケストラの間奏の後も実に素晴らしいヴァイオリンが奏でられています。オーケストラは良い響きで盛り上がってきます。中間部の重音ソロはよい響きです。ヴィオラとの対話が深い響きです。ハイトーンで始まるカデンツァは重音が巧みな見事な演奏です。緊張感があります。後半はオーケストラの迫力が素晴らしいです。ヴァイオリンも気迫に満ちた演奏を聞かせています。第2楽章はオーケストラとのバランスもよくヴァイオリンがよく響いています。ダウスゴーの引き出すシベリウスの響きも素晴らしいものです。第3楽章は冒頭の弾むようなヴァイオリンが軽快に響きます。オーケストラの間奏のあとのヴァイオリン・ソロは厚い響きで奏でられています。後半はオーケストラに支えられながら重音を響かせていいます。オーケストラの迫力ある演奏は素晴らしい。
 2つのセレナードOp69は1913年の作品。シベリウスの管弦楽の素晴らしさが伝わってきます。第1番の美しい主題はヴァイオリン協奏曲のようです。小品ながらも交響曲のような雄大な響きがあります。第2番は哀愁的なメロディがヴァイオリンで始まります。やがて軽快な主題の続く部分がありオーケストラの雄大な響きが印象的です。
 2つの小品Op77は交響曲第5番と同じ頃の作品、第1曲「聖歌」、第2曲「献身」となっていて荘重な響きの小品です。
 2つのユモレスクOp87と4つのユモレスクOp89は1917年の作品。6つのユモレスク(フモレスケ)として演奏されますので1番から6番まで番号を付けられています。この6つの小品はヴァイオリンと管弦楽のための作品として親しまれていて録音も多いです。
 ヴァイオリンと弦楽のための組曲Op117はシベリウスの没後25年の1982年に発見された作品です。1929年ころの作品とされて出版時に最後の作品番号117を与えられています。第1曲「田園風景(アレグレット)」、第2曲「春の夕べ(アンダンティーノ)」、第3曲「夏に(ヴィヴァーチェ)」の3曲になっています。抒情的な旋律が流れ、北欧情緒あふれる作品です。


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