その他のヴァイオリン協奏曲の演奏

ニールセン/ヴァイオリン協奏曲/ユーディ・メニューイン(1952)
CD(EMI CDM7639872)

1..シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.ニールセン/ヴァイオリン協奏曲Op33

  ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
  サー・エードリアン・ボールト指揮
   ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1)
  モーゲンス・ヴェルディケ指揮
    デンマーク国立放送交響楽団(2)
    録音 1955年6月20日(1)モノラル
        1952年9月28日(2)モノラル

 メニューインが録音した北欧の2大ヴァイオリン協奏曲です。
 .シベリウスのヴァイオリン協奏曲は冒頭から緊張感あふれるヴァイオリンが聴かれます。まだ録音が少なかった時代にメニューインが弾いたシベリウスは独自の世界を作っています。オーケストラの間奏のあとに入るヴァイオリンのカデンツァはメニューインの個性が感じられるものです。これもまた素晴らしい演奏です。再現部の演奏はボールトの引き出すオーケストラの響きが素晴らしいものです。ヴァイオリンのソロが力強く奏でられ、コーダの緊張感がたまりません。第2楽章のアダージョ・ディ・モルトは劇的な響きの中間部が聴きどころです。メニューインのヴァイオリンは力強く、オーケストラに負けない気迫に満ちたものです。第3楽章は弾むようなヴァイオリンが素晴らしい響きです。迫力のあるオーケストラの響きとメニューインのヴァイオリンの作り出すシベリウスはまた良いものです。
 ニールセンのヴァイオリン協奏曲は1911年の作品。2つの楽章で構成されますが、このアルバムは第2楽章を間奏曲とロンドに分けて3つの楽章として収録してあります。第1楽章は冒頭からメニューインのヴァイオリンに圧倒されます。これほど力のこもった演奏とは思いませんでした。長い前奏のあと、アレグロ・カヴァレレスコに入るとヴァイオリンの主題が流れます。これが大変力強いものです。これは素晴らしい演奏です。カデンツァはスピード感のある凄い演奏です。これは驚きました。後半はコーダまで圧倒的な演奏が聴かれます。第2楽章は間奏曲のポコ・アダージョに始まります。ここで流れる哀愁的な主題は美しいものです。メニューインのヴァイオリンには緊張感があります。第3楽章:ロンドはアレグレット・スケルツァンドです。ヴァイオリンとオーケストラが軽快な主題を演奏します。オーケストラのピツィカートが良い響きです。カデンツァは気迫に満ちた素晴らしい演奏です。このアルバムはシベリウスも素晴らしい演奏ですが、それにもましてニールセンの圧倒的な演奏には感服です。


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