シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

辻 彩奈(2016)
CD(WANER CLASSICS 0190295702908)

1.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ 
    イ短調 Op28(フランチェスカッティ版)
3.ストラヴィンスキー/協奏的二重奏曲

  辻 彩奈(ヴァイオリン)
  ジャンカルロ・ゲレロ指揮
   モントリオール交響楽団(1)
  フィリップ・チウ(ピアノ)(2&3)
  録音2016年5月31日ライヴ(1)
     2016年5月24日ライヴ(2)
     2016年5月27日ライヴ(3)

 辻 彩奈は2016年のモントリオール国際コンクールで優勝しています。その時の本選会のライヴ録音と準決勝のストラヴィンスキーなどが収録されています。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲はコンクールに優勝した時の演奏だけに冒頭から気迫に満ちたヴァイオリンが聴かれます。ヴァイオリンがよく響きます。音の素晴らしさと完璧な演奏、モントリオール交響楽団の素晴らしい響きと相まって大変崇高な音楽になりました。カデンツァは研鑽の積み重ねを感じさせるもので驚くほどの見事な演奏です。再現部の演奏もまた壮大な演奏になっています。ヴァイオリンがオーケストラに負けないほど力強い演奏になっています。第2楽章は木管楽器の序奏のあとに美しいヴァイオリンが響きます。オーケストラと共に歌うヴァイオリンが素晴らしい響きです。中間部の盛りあがりはオーケストラの響きに大変迫力があります。後半のヴァイオリンは重音が素晴らしい響きです。第3楽章は冒頭の弾むようなヴァイオリンが力強く響きます。この厚い響きが素晴らしい。これには圧倒されます。オーケストラの響きもまた圧倒的です。間奏のあとのヴァイオリン・ソロは厚い響きで奏でられています。重音には力が入ります。後半はオーケストラに支えられながら厚い響きでヴァイオリンを聴かせていいます。オーケストラの迫力ある演奏は素晴らしい。この演奏は19歳の生演奏とは思えない凄さがあります。優勝は納得できます。
 サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」はビゼーによるピアノ編曲、フランチェスカッティの版による演奏です。なんとも繊細なヴァイオリンです。完璧なポジションとボーイング、勝ち上がるのも当然の演奏です。巨匠並みの演奏です。観客も絶賛でした。
 ストラヴィンスキーの協奏的二重奏曲は準決勝で演奏した曲でした。5つの楽章からなる難曲です。ピアノも難しそうです。第2楽章:エクローグ1は重音の連続で力が入ります。第3楽章:エクローグ2の繊細なヴァイオリン、よく鳴らしています。ピアノがまた素晴らしい演奏です。第4楽章:ジーグは躍動感が素晴らしい。第5楽章を含めて聴衆を圧倒したことは間違いありません。驚きの演奏です。いずれも絶賛したい演奏です。


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