「春の祭典」の演奏

ワレリー・ゲルギエフ/キーロフ歌劇場管弦楽団(1999)
CD(PHILIPS UCCP-1035)

1.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
2.スクリャービン/交響曲第4番Op54「法悦の詩」

  ワレリー・ゲルギエフ指揮
   キーロフ歌劇場管弦楽団
   録音 1999年7月24〜27日

  ゲルギエフがキーロフ歌劇場管弦楽団を指揮した「春の祭典」と「法悦の詩」です。
  ストラヴィンスキーの「春の祭典」は冒頭のファゴットの響きが明るいです。木管楽器の響きの良さもまた素晴らしいものです。「春のきざし」は緊張感もあり、パーカッションの大音響も聴きものです。ホルン・ソロは明るい響きで好印象です。「誘拐」のパーカッションの響きはいいのですがホルンの強奏が奥の方に聞こえるのが惜しいです。次は聞こえてきます。「春のロンド」ではタムタムと大太鼓の迫力が素晴らしい。ここはこうありたいものです。「敵対する町の遊び」は勢いがあり、緊張感も感じられます。「賢者の行進」では強奏のなかでもギロが鮮やかです。「大地の踊り」はそのスピード感と迫力には圧倒されます。これは興奮させられます。第2部の序奏はよい響きで緊張感があります。「乙女の神秘的な踊り」で聞かれるホルンはきれいな響きです。「いけにえの賛美」の前の和音から緊張感があって「いけにえの賛美」もまた凄いです。管楽器とパーカッションの迫力に圧倒されそうです。「祖先の呼び出し」はティンパニの強打とクレッシェンドが凄いです。「祖先の儀式」でのホルンの強奏は見事な響き、パーカッションも素晴らしい。「いけにえの踊り」の圧倒的な演奏、後半の緊張感が素晴らしい。タムタムの響きがよく聞こえます。また最後の「ピカドン」の前にたっぷりと間をおいて、ティンパニはドドンの二度打ち、これには驚きました。素晴らしい演奏です。
 スクリャービンの「法悦の詩」は単一楽章の作品です。冒頭の神秘的な響き、ハープのきらめき、そしてホルンとともに響くトランペットの響き、このトランペットがこの作品を支配しますが、この演奏はオーケストラのそれぞれの楽器の緻密な演奏が大変素晴らしい。そしてトランペットのフレーズが気分の高揚をもたらします。この強弱の極端なことで「法悦の世界」にのめり込んでしまいます。最後に打ち鳴らされる鐘が印象的です。ムラヴィンスキーやスヴェトラーノフと比肩する名演です。


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