その他のヴァイオリン協奏曲の演奏

ニールセン/ヴァイオリン協奏曲/バイバ・スクリデ(2015)
CD(ORFEO C896 152A)2枚組

CD1
.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.   〃  /2つのセレナードOp69
CD2
3.ニールセン/ヴァイオリン協奏曲Op33

 バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)
 サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮
  タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団
 録音2015年1月7〜9日
  フィンランド、タンペレ・ホール

 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は冒頭から大変美しいヴァイオリンが響きます。オーケストラの間奏の後も実に素晴らしいヴァイオリンが奏でられています。オーケストラは良い響きで盛り上がってきます。さすがにフィンランドのオーケストラはシベリウスの表現がうまいです。ハイトーンで始まるカデンツァは情感豊かに歌っています。見事な演奏です。後半はオーケストラの迫力が素晴らしいです。ヴァイオリンも緊張感をもって素晴らしい演奏を聞かせています。コーダのオーケストラのうねりが凄いです。第2楽章はオーケストラとのバランスもよくヴァイオリンがよく響いています。中間部の圧倒的な響きも素晴らしいものです。第3楽章は冒頭の弾むようなヴァイオリンが力強く響きます。オーケストラの勢いのある演奏が凄いです。間奏のあとのヴァイオリン・ソロは厚い響きで奏でられています。後半はオーケストラに支えられながら重音を響かせていいます。オーケストラの響きは生々しいもので素晴らしい演奏です。
 シベリウスの「2つのセレナードOp69」は1913年の作品。シベリウスの管弦楽の素晴らしさが伝わってきます。第1番の美しい主題はヴァイオリン協奏曲のようです。小品ながらも交響曲のような雄大な響きがあります。タンペレ・フィルの音作りが素晴らしい。第2番は哀愁的なメロディがヴァイオリンで始まります。やがて軽快な主題の続く部分がありオーケストラの雄大な響きが印象的です。
 ニールセンのヴァイオリン協奏曲は1911年の作品。2つの楽章で構成されますが、このアルバムは第1楽章を前奏曲とアレグロ・カヴァレレスコに、また第2楽章を間奏曲とロンドに分けて4つの楽章のように収録してあります。第1楽章は前奏曲の冒頭からヴァイオリンの劇的な演奏に圧倒されます。力のこもったヴァイオリンです。オーケストラのピツィカートが印象的です。アレグロ・カヴァレレスコに入るとヴァイオリンの主題が流れます。これが大変力強いものです。スクリデのヴァイオリンは素晴らしい演奏です。カデンツァは繊細にそして力強く演奏しています。後半はコーダまで素晴らしい響きの演奏が聴かれます。第2楽章は間奏曲のポコ・アダージョに始まります。ここで流れる哀愁的な主題は美しいものです。ヴァイオリンも美しい響きが聴かれます。後半のロンドはアレグレット・スケルツァンドです。ヴァイオリンとオーケストラが軽快な主題を演奏します。カデンツァは緊張感漂う素晴らしい演奏です。コーダは迫力があります。なお、この演奏ではストラディヴァリウス「エクス・バロン・フォン・ファイリッチュ(1735製)」を使用しています。


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