ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

フリッツ・クライスラー(1926)
CD(NAXOS 8.110909)

1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
        (カデンツァ:クライスラー)
2.J・S・バッハ/アダージョ
  〜無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番より
3.メンデルスゾーン/5月のそよ風Op62−1
  (クライスラー編)
4.   〃   /ヴァイオリン協奏曲ホ短調Op64

  フリッツ・クライスラー(ヴァイオリン)
  レオ・ブレッヒ指揮
   ベルリン国立歌劇場管弦楽団(1&4)
   アルパド・シャンドール(ピアノ)(3)
    1926年12月14〜16録音(1)
    1926年12月16日録音(2)
    1926年12月14日録音(3)
    1926年12月9〜10日録音(4)

 クライスラーは1926〜7年に三大ヴァイオリン協奏曲をレオ・ブレッヒの指揮で録音していました。このアルバムはその中のベートーヴェンとメンデルスゾーンを収録したものです。録音データをみるとこの4曲は同じ時期に録音されています。SPで発売された時にバッハはベートーヴェンの最終面に、メンデルスゾーンの2曲は協奏曲の最終面に無言歌の1曲を収録していました。
 ベートーヴェンは1926年で世界初録音でした。この復刻は大変きれいです。演奏の素晴らしさは勿論、カデンツァはクライスラーの自作で現在も多くの演奏家に愛奏されています。第3楽章の前に挿入される短いカデンツァは少し長めです。しかも現在演奏されるつなぎのカデンツァよりも長いので興味深いです。
 バッハのアダージョは透明な響きで、驚くほどきれいな演奏です。メンデルスゾーンの無言歌からの1曲「5月のそよ風」はクライスラーの編曲でヴァイオリンの録音状態が素晴らしく、1950年代の録音かと思うほどです。演奏の素晴らしさはこれがクライスラーかと思うほどです。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はヴォルフシュタールに次ぐ録音でオーケストラ伴奏は世界初でした。こちらはポルタメントをふんだんに使ったロマンティックな演奏です。その技巧的な演奏は目を見張ります。LP復刻の当時はあまり聴きませんでしたが、CDでは全曲通して聴いてもあきません。


トップへ
戻る
次へ