チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

アイザック・スターン(1958)
CD(CBS SONY 30DC713)

スターン/ヴァイオリン協奏曲集
1.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                 ホ短調Op64
2.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                 ニ長調Op35

 アイザック・スターン(ヴァイオリン)
 ユージン・オーマンディ指揮   
  フィラデルフィア管弦楽団
  録音 1958年3月24日(1)
      1958年3月23日(2)

 メン・チャイのヴァイオリン協奏曲をLPのカップリングとして売り出して大評判だったスターンとオーマンディの共演は、今なお群を抜く演奏といって良いでしょう。60年代当時オーマンディは協奏曲指揮者と勘違いされるほど協奏曲録音でヒットを出していました。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は冒頭からきれいな響きのヴァイオリンで始まります。オーマンディの指揮はオーケストラから良い響きを引き出してくれます。スターンのヴァイオリンは次第に熱が入ってきます。カデンツァは表現力を駆使した見事なものです。経過部のオーケストラも良い響きです。再現部は美しい響きのヴァイオリンが素晴らしい演奏です。切れ目なく続く第2楽章のアンダンテは美しい響きのヴァイオリンが歌います。オーケストラもよい響きです。何とも言えない感動があります。切れ目なく続く第3楽章は序奏の美しさ、主部に入ってからは跳躍するような主題が木管楽器と重なるところは溶け合うような美しさがあります。ピツィカートも力強い響きです。盛り上がってのオーケストラもよい響きです。スターンのヴァイオリンも力強く響きます。素晴らしい演奏です。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はスターンのきれいな響きのヴァイオリンに始まります。ホールの響きがオーケストラと共にきれいです。なんという美しい演奏でしょうか。展開部では完璧なボウイングで乱れもなく感動的な演奏です。カデンツァは力強い演奏で感動的です。見事な演奏です。再現部の表現力豊かな演奏も素晴らしいです。第2楽章のカンツォネッタは何とも言えないほどのスターンによるヴァイオリンの歌があります。ホルンの響きもきれいです。第2主題もまた素晴らしいもので、チャイコフスキーのメロディーの美しさがあります。この作品はこの楽章に大きな魅力があると感じました。第3楽章は序奏のヴァイオリン・ソロの見事な演奏と速いテンポの主部は良い響きで、オーケストラとの対話もまた聴きどころです。クラリネットやファゴットも良い響きです。ホルンもきれいに響きます。後半の熱のこもった演奏は見事です。速いテンポのオーケストラも素晴らしい演奏です。スターンの演奏はさすがに素晴らしいです。


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