「春の祭典」の演奏

ジェイムズ・レヴァイン/メトロポリタン・オーケストラ(1992)
CD(DGG POCG-1662)

1.ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)
2.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

  ジェイムズ・レヴァイン指揮
    メトロポリタン・オーケストラ
   録音 1992年5月

 レヴァインはニューヨークのメトロポリタン歌劇場の首席指揮者に30歳で就任していました。この歌劇場のオーケストラが初めてオペラ以外の曲を録音したのがこのアルバムでした。
 「展覧会の絵」は冒頭のプロムナードのテンポがいかにも展覧会への一歩一歩のようです。トランペッターが一番吹きにくい曲の代表ですが、大変きれいな演奏です。「古城」のサックスが実に美しい。ビドロのチューバ(ユーフォニウム)の歌が絶品でしょう。「ババ・ヤガの小屋」も面白く、この演奏は「キエフの大門」までまさに音の展覧会といえるでしょう。 
 「春の祭典」はレヴァインがウィーン・フィルと演奏したあとに録音していました。冒頭のファゴットの音色、歌い方は絶妙でトップクラスのファゴット・ソロと思います。序奏で響くE♭クラリネットの響きがきれいなことに感動です。「春のきざし」のリズム感、パーカッションの迫力は凄いものです。「誘拐」ではホルンやチューバの強奏も素晴らしい響きです。「春のロンド」におけるパーカッションのド迫力に圧倒されます。「大地の踊り」で鳴らす大太鼓の音に感激です。第2部の「いけにえの賛美」は直前の和音から異様な緊張感がありテンポに乗ったリズムの祭典ともいえる演奏で、ティンパニの強打が素晴らしい。「祖先の呼び出し」のティンパニも圧倒的な響きです。「大地の踊り」はお祭りの太鼓のように鳴るティンパニにもまた驚きです。終結まで息をもつかせぬ圧倒的な演奏は古今の演奏の中でもトップクラスの名演です。最後の2音の演奏は感動でした。


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