2000年以後の「春の祭典」

小林 研一郎/日本フィルハーモニー交響楽団(2000)
CD(EXTON  OVCL-00031)2枚組 

CD1
1.ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調Op95
                「新世界より」
CD2
2.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
               (1947年版)
  小林 研一郎指揮
    日本フィルハーモニー交響楽団
  録音 2000年8月20日ライヴ(1)
      2000年3月23&24日ライヴ(2)
      東京・サントリーホール

 小林研一郎と日本フィルハーモニーによる「新世界より」と「春の祭典」です。
 チェコ・フィルとの共演も多いコバケンさんはドヴォルザークの「新世界より」を相当研究されていると思われますが、この演奏は第1楽章の序奏からチェコのオーケストラを振っているかのような演奏です。アメリカの大地の夜明けを表現しながらも故郷を思うドヴォルザークの思いが伝わるような気がします。序奏におけるティンパニの張りのある響きは素晴らしい。提示部の演奏はホルンの主題から弦楽、木管の流れのよさ、ピツィカートの響きと新鮮な響きです。展開部のホルンがきれいですね。なぜかコバケンさんの唸り声がきこえます。再現部のきれいな響きはまた絶品でしょう。コーダでも唸り声がきこえてきます。第2楽章の冒頭で金管のコラールのあとに叩かれるティンパニは遠雷のように聞こえます。コールアングレの主題は実に素晴らしい。中間部のアメリカ民謡風の主題のときの弦楽の響きが驚きです。また低弦のピツィカートにささえられた管楽器の演奏もきれいでした。第3楽章の演奏も凄いです。このリズムと主題の交錯はやっかいなところですが、抜群の流れです。フィナーレは冒頭からコバケンさんは唸り過ぎですが、主題の経過部ではヴァイオリンのレガートが実に素晴らしい。またシンバルのあとのクラリネットは哀愁的で豊かな表現力が絶品です。この楽章は前の3つの楽章の主題が何度も出てきますが、途中でテンポアップするなどえらい演奏をしています。これほど面白い演奏もないでしょう。後半のカンタービレに乗った管楽器の演奏、弦楽のカンタービレも絶品です。終結のフェルマータも長いです。 
 「春の祭典」はコバケンさんのデビューレコードでした。それだけに作品の読みは深いです。「春のきざし」のリズム、つんざくような打楽器、「誘拐」では打楽器の強打、金管の叫びと凄まじいです。「春のロンド」では大太鼓とタムタムの豪快な響きが圧倒します。「賢者の行列」も音の洪水です。「大地の踊り」のクレシェンドは凄いです。パーカッションが素晴らしい。
 第2部では「乙女たちの神秘な集い」のテンポの速さに驚きます。「いけにえの踊り」ではリズムの切れの良さ、パーカッションが凄いです。「祖先の呼び出し」ではティンパニの豪快な響きが素晴らしい。「祖先の儀式」においてはホルンの絶叫があります。「いけにえの踊り」はティンパニの強打が凄まじいです。終結前の圧倒的な響き、ティンパニの強打の連続と豪快な終結に圧倒されました。


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