「海」の演奏(1)

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団(1947)
CD(LYS RYS-457)

1.ドビュッシー/交響詩「海」
2.   〃  /小組曲(ビュッセル編)
3.ファリャ/スペインの庭の夜
4.オネゲル/「ダビデ王」より
5. 〃  /夏の牧歌
  ジャクリーヌ・ブランカール(ピアノ)(3)
  エルネスト・アンセルメ指揮
   スイス・ロマンド管弦楽団(1、3〜5)
   パリ音楽院管弦楽団(2)
   スイス・ロマンド合唱団(4)
  録音 1947年(1)
      1948年(2)
      1942年10月(3&5)
      1929年(4)

 アンセルメのフランス音楽です。いずれもSP録音で「海」は最初の録音でした。
 「海」は第1曲「海の夜明けから真昼まで」はSPだけに音質はよくありませんが、ノイズはほとんどなく十分楽しめます。演奏は時折テンポの変化をみせますが、オーケストラを十分に鳴らした見事なものです。波のきらめきの表現など素晴らしく、コーダの大波の演奏もいいです。第2曲「波の戯れ」ではコールアングレに続くオーボエの演奏がきれいです。ハープによる波のきらめき、ホルンの響き、弦楽による波の戯れの表現が素晴らしいです。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力とパーカッションの響きが素晴らしく、ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話がまた見事です。管楽器とパーカッションの迫力は十分です。後半に挿入されるパッセージはホルンとトランペットで高らかに演奏されます。怒濤のコーダは圧倒的で渦を巻く海のようです。最後の7小節はテンポを落としていました。
 「小組曲」はパリ音楽院管弦楽団の演奏です。管楽器の明るい響きがまた素晴らしい。ルシアン・テヴェの明るいホルンが時折聞こえます。ファリャの作品はアンセルメが数多く演奏していますが、「三角帽子」は初演者でした。「スペインの庭の夜」はピアノ協奏曲ともいえるものですがスペイン情緒あふれる作品です。ブランカールとはたびたび共演しています。 
 オネゲルの劇的オラトリオ「ダビデ王」はファリャの出世作でした。5曲が演奏されています。最後の「夏の牧歌」は1920年オネゲル28歳のときの作品で、夏のスイスの風景を音楽に表現したものです。アンセルメの演奏によって生き生きとした音楽になっています。


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