「海」の演奏(2)

マニュエル・ロザンタール/パリ国立歌劇場管弦楽団(1957〜59)
CD(Ades 465483-2)2枚組

ドビュッシー/管弦楽名曲集
CD1
1.春のあいさつ(1882)
2.祈り(1883)
3.スコットランド行進曲(1891)
4.牧神の午後への前奏曲
5.3つの夜想曲
CD2
6.交響詩「海」
7.映像(ジーグ/イベリア/春のロンド)
8.バレエ音楽「遊戯」

  マニュエル・ロザンタール指揮
   パリ国立歌劇場管弦楽団
   フランス国立放送合唱団(1、2&5)
  録音 1957年〜1959年

 マニュエル・ロザンタールはパリ音楽院でラヴェルに教えを受けています。指揮活動のかたわら作曲も手がけていますが名前を有名にしたのがオッフェンバックの作品をバレエ音楽に編曲した「パリの喜び」でしょう。指揮者としてはグリュミオーのCDに見られます。このアルバムはパリ国立歌劇場管弦楽団と録音したドビュッシーです。往年のフランスのオーケストラの響きがあります。明るい響きのホルンが懐かしいです。
 「春のあいさつ」は女声合唱とオーケストラ、「祈り」は男声合唱とオーケストラのための作品でドビュッシーの初期の作品です。「牧神の午後への前奏曲」はまさにフランスの香りに満ちた素晴らしい響きです。ホルンの明るさがたまりません。「夜想曲」の
優雅な響き、「祭り」の明るい響き、シレーヌでは女声合唱とホルンの対話が実に素晴らしい。
 「海」の第1曲「海の夜明けから真昼まで」は明るい響きのドビュッシーです。最近ではまったく聞かれなくなったフランスのオーケストラらしい響きです。やはりホルンは明るい響きがよくあいます。コーダの押し寄せる波は金管が圧倒的な響きです。パーカッションも素晴らしいです。最後のフェルマータの長さに注目です。第2曲「波の戯れ」はハープとグロッケンがきれいですが、グロッケンがチェレスタのような音です。最高の雰囲気を出しています。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力とパーカッションの響きが素晴らしい。ティンパニにたたき方が見事です。シンバルの強打にはびっくりです。明るい響きのホルンの吹く風と弦の表現する波との対話がきれいです。シンバルが生きています。後半に挿入されるパッセージは挿入されていませんが、終結は圧倒的な響きです。
 「映像」は「ジーグ」から素晴らしい響きの連続、「イベリア」にあってはこの上ない絶品演奏です。「春のロンド」も素晴らしい。
 「遊戯」にいたっては冒頭の絶妙な響きがたまりません。パーカッションの活躍が目立つ曲ですが、このような名演があったとは知りませんでした。


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