ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヘルマン・クレバース(1970)
CD(TAHRA TAH155)

カレル・アンチェル/ライヴ録音集
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
     (カデンツァ:クライスラー)
2.ラフマニノフ/パガニーニの主題による変奏曲Op43

  ヘルマン・クレバース(ヴァイオリン)(1)
  ダニエル・ワイエンベルク(ピアノ(2)
  カレル・アンチェル指揮
    アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
   録音 1970年1月28日ライヴ(1)
       1970年1月21日ライヴ(2)

 アンチェルが西側に亡命してからの録音です。1997年発売でした。ヘルマン・クレバースはコンセルトヘボウのコンサートマスターです。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はしっとりとした味のある演奏です。大変きれいな響きの演奏です。第1楽章のファゴットとヴァイオリンの絡みなどは素晴らしいものです。絶妙はビヴラートは泣かせます。このようにヴァイオリンを鳴らすクレバースには感動です。クライスラーのカデンツァは充分にヴァイオリンを鳴らして素晴らしい響きです。第1楽章のあとに拍手が入ります。第2楽章でも美しいヴァイオリンが歌い、ここでもファゴットがきれいな響きで応答します。結尾のカデンツァと続く第3楽章は生き生きとしたヴァイオリンがロンドの主題を奏でます。クレバース46歳の円熟期の演奏はさすがに良い響きを出します。コンセルトヘボウの演奏もまた良い響きを出しています。カデンツァは重音の響きも厚く良い演奏です。アンチェルのサポートも見事で熱く燃えるような演奏は大喝采です。
 ラフマニノフのパガニーニの主題による変奏曲はワイエンベルクのピアノによります。あざやかなピアノタッチで録音もよくて臨場感たっぷりの演奏です。ハープとの交錯は素晴らしい響きです。有名な第18変奏はアンダンテ・カンタービレでこの作品の聴きどころです。実に優しいピアノタッチで始まる感動的な演奏です。オーケストラがまた良い響きです。この名曲の魅力を存分に味わえる名演です。


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