惑星の演奏

ウィリアム・ボートン/フィルハーモニア管弦楽団(1988)
CD(Nimbus  NI−5117)

 ホルスト/管弦楽作品集
1.組曲「惑星」Op32
  火星(6:54)  金星(8:39)
  水星(3:45)  木星(6:57)
  土星(8:53)  天王星(5:35)
  海王星(8:30)
2.歌劇「どこまでも馬鹿な男」より
       3つのバレエ音楽
  ウィリアム・ボートン指揮
     フィルハーモニア管弦楽団
         女声合唱団(海王星)
  録音 1988年1月11&12日
    ロイヤル・アルバート・ホール

 フィルハーモニア管弦楽団はボールトの指揮で1966年にニュー・フィルハーモニア時代に名演奏を録音して以来、この曲を何度も録音しています。この録音はロイヤル・アルバート・ホールで行われました。火星」はやや速めのテンポで演奏され凄まじい迫力があります。パーカッションの活躍も素晴らしいです。「金星」は冒頭のホルンが大変きれいです。木管楽器とのからみも絶品。ハープの響きもたまりません。「水星」は心地よいテンポで管楽器の抜群のアンサンブルが聞かれます。グロッケンシュピールの音は「翼を持った使者」を表しているのでしょうか。
 「木星」は程良いテンポで抜群のアンサンブルを聞かせています。第2主題も速いテンポですが、第3主題のホルンは良いテンポです。第4主題のアンダンテ・マエストーソ「ジュピターのテーマ」はやや速めの演奏ながら実に美しい響きを出しています。「土星」はけだるいようなアダージョで始まりますが、それにしてもよく出来た音楽です。クライマックスの鐘は明るく響きます。美しい響きの「土星」になりました。「王星」は冒頭のティンパニが重々しく響きます。シロフォンはきれいに響きます。第2主題のホルンと弦の響きも素晴らしい。中程に入るティンパニの強打と共に叩かれるタンバリンの一打が大変印象に残ります。「海王星」は穏やかで神秘的な曲ですが非常に繊細に書かれておりスコアを見ると驚きます。ハープとチェレスタが絶妙に響きます。女声合唱の控えめなヴォカリーズがきれいです。この録音ではpppから消えるまで1分もかけています。その1分のうち残り30秒は周りがよほど静かでないと聞こえないでしょう。ホルストはこれくらいの演奏を望んだのではないでしょうか。
 「どこまでも馬鹿な男」の「3つのバレエ音楽」は管楽器の活躍する第1曲「地の聖霊の踊り」、ヴィオラとチェレスタで始まる穏やかな第2曲「水の聖霊の踊り」、そして明るく管楽器のダンスのようで賑やかな第3曲「火の聖霊の踊り」が続けて演奏されます。


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