惑星の演奏

デーヴィッド・ロイド=ジョーンズ/ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(冥王星付)(2001)
CD(NAXOS 8.555776)

ホルスト/組曲「惑星」Op32
1.火星(6:58) 2.金星(8:20)
3.水星(3:51) 4.木星(7:52)
5.土星(9:08) 6.天王星(6:02)
7.海王星(6:36)
8.コリン・マシューズ/冥王星(6:38)
9.ホルスト/ソプラノと管弦楽のための劇唱
    「神秘のトランぺッター」Op18
    (マシューズ&I・ホルスト編曲)(18:26)
 
 クレア・ラター(ソプラノ)(9)
 デーヴィッド・ロイド=ジョーンズ指揮
  ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
      〃   女声合唱団(7&8)
  録音 2001年2月17&18日
  グラスゴー、ザ・シティ・ホール

 デーヴィッド・ロイド=ジョーンズ指揮のロイヤル・スコティッシュ管弦楽団による「惑星」です。このCDには原曲には無いはずの「冥王星」が収録されています。ホルストが「惑星」を完成させた1917年にはまだ冥王星は発見されませんでした。発見されたのはホルストが亡くなる4年前の1930年でした。 「冥王星」はコリン・マシューズによって1984年に亡くなったホルストの娘イモージェンの思い出にとして作曲され、彼女に献呈された曲です。初演は2000年5月11日にケント・ナガノ指揮ハルレ管弦楽団によってなされました。
 「火星」は管楽器のうまさが光る迫力のある演奏です。管と弦の厚みのある演奏が見事です。中間部のうねり、管楽器と弦楽の絡み、クライマックスの金管の強奏は迫力あります。パーカッションの響きも見事です。コーダの迫力は素晴らしいです。
 「金星」はホルンで始まります。透明感あるホルンが素晴らしい響きです。木管とハープも良い響きです。ヴァイオリン・ソロからの弦楽の美しさも見事です。オーボエのソロ、チェロのソロも良い響きです。そしてハープとホルンの美しい響きは際立っています。大変美しいアダージョです。 
 「水星」はスケルツォ、管楽器とハープの厚みのある響き、弦楽の細かい刻み、チェレスタとのバランス等大変難しい曲ですがこれは見事な演奏です。クライマックスの厚い響き、ホルンも良い響きです。後半の弦楽と木管、チェレスタもきれいな響きです。 
 「木星」は最も有名な曲でテンポの変化などロイド=ジョーンズの腕の見せ所です。冒頭から迫力のある演奏です。第2主題のホルンが程よいテンポでたっぷりときれいに歌われています。ティンパニは迫力のある演奏です。アンダンテの「ジュピター」のテーマは朗々と歌われるきれいな演奏、感動ものです。再現部の素晴らしい響きも見事な演奏です。ホルンがきれいです。コーダは大変素晴らしい演奏です。
 「土星」はアダージョ、重い足取りのような部分が続いてクライマックスになります。テンポは程よいもので雰囲気は素晴らしいです。弦楽と木管も良い響きです。トロンボーンとホルンの響きもきれいです。中間部では鐘が鳴り響きます。ティンパニは迫力があります。この曲は後半の神秘的な響きも聞きものです。きれいな演奏です。 
 「天王星」はアレグロ、冒頭金管に続くティンパニの響きが強烈です。続く主題も見事な演奏です。ホルンと弦楽のユニゾーンは迫力あります。パーカッションの響きも凄いです。後半の金管の盛大な響きとティンパニには圧倒されそうです。最後はハープが響いて終わります。
 「海王星」はフルートに始まる最も神秘的な響きの曲です。5拍子の変則的なところが効果的のようです。ハープやチェレスタの響きはまさに神秘です。クラリネットの主題が実に良い響きです。弦に受け継がれるといよいよ女声コーラスが聞こえてきます。ハープもきれいに響きます。この演奏ではステージ裏で歌われていますので大変効果的で最微音まで聞かれます。消えゆくコーラスは素晴らしい演奏です。
 コリン・マシューズの「冥王星」は神秘的な音楽と不協和音が混在するためドキッとさせられますが、これは見事な演奏です。パーカッションの響きは素晴らしいです。最後は金管の響きが素晴らしいです。そして女声コーラスが加わって消えていきます。 
 ホルストのソプラノと管弦楽のための劇唱「神秘のトランぺッター」は1979年にマシューズとI・ホルストが編曲したものです。静かな序奏のあとにホルンがきれいに響きます。そしてトランペットがきれいに響きますと、ソプラノの歌が始まります。クレア・ラターのソプラノ歌唱は素晴らしいです。間奏にトランペットとホルンがきれいに響きます。そして後半のソプラノのきれいな歌唱が流れます。「神秘のトランぺッター」ですからトランペットもきれいに響きます。最後は迫力もあって、これは見事な演奏です。


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