惑星の演奏

マーク・エルダー/ハルレ管弦楽団(冥王星付き)(2001)
CD(hyperion CDA67270)

ホルスト/組曲「惑星」Op32
 1.火星(7:38) 2.金星(7:21)
 3.水星(4:00) 4.木星(7:43)
 5.土星(9:35) 6.天王星(6:00)
 7.海王星(6:36)
 8.コリン・マシューズ/冥王星(6:13)
 9.ホルスト/抒情的な楽章(11:45)
10. 〃   /海王星(6:38)
  ティモシー・プーリー(ヴィオラ)(9)
 マーク・エルダー指揮ハルレ管弦楽団
   ハルレ合唱団女声コーラス(7&8)
   録音 2001年3月27&28日

 このCDには原曲には無いはずの「冥王星」が収録されています。ホルストが「惑星」を完成させた1917年にはまだ冥王星は発見されませんでした。発見されたのはホルストが亡くなる4年前の1930年でした。
 「冥王星」はコリン・マシューズによって1984年に亡くなったホルストの娘イモージェンの思い出にとして作曲され、彼女に献呈された曲です。初演は2000年5月11日にケント・ナガノ指揮ハルレ管弦楽団によってなされました。
  さてマーク・エルダーの演奏は火星では派手さはないものの金管のうまさが光っていました。弦楽器は厚みのある録音になっています。金星では冒頭のホルンのソロがちょっとふらついて惜しいです。あとは申し分ない演奏です。水星はまずまずです。前半で楽器のバランスに若干の乱れがあります。
  木星は程良いテンポではじまります。第2主題はご機嫌です。第3主題のホルンも見事なアンサンブルです。欲を言えば弦と管のバランスがもっと良ければと思いました。アンダンテのジュピターのテーマは淡々と歌っています。第2主題の再現ではホルンが良い響きです。第3主題の再現でもホルンとトランペットが見事です。
 土星は中間部のクライマックスで厚みのある音を出していました。鐘の音はよく響いています天王星では冒頭の金管の和音は良かったのですがティンパニの音が堅いです。管楽器による第1主題は見事です。中間部ではティンパニが良い響きを出しています。コーダ前とコーダのオルガンはよく響いていました。
 海王星は神秘的な音楽作りに若干物足りなさがあります。後半のクラリネットの主題はよく聞こえます。そして女声コーラスは美しい響きが続きます。消えていくと冥王星に入ります。
 マシューズの冥王星は神秘的な音楽と不協和音が混在するためドキッとさせられます。最後は女声コーラスが加わって消えていきます。
 余白の「ヴィオラと小管弦楽のための抒情的な楽章」はホルストの最晩年1933年の作品です。
 なお、最後のトラックに海王星が収録されていますが、消えていくように余韻を楽しむためのトラックでしょう。まったく同じテイクの録音でしたが、無駄ではないでしょう。

 ジャケットの写真は冥王星と右下の衛生「カロンの間に太陽が見えている幻想的な画像です。


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