ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

レオン・シュピーラー(1988)
CD(koch schwann CD316 002 F1)

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
    (カデンツァ:クライスラー)

   レオン・シュピーラー(ヴァイオリン)
   ヘルマン・ミヒャエル指揮
    フランクフルト放送交響楽楽団
    録音 1988年
     ヘッセン放送の放送録音

  レオン・シュピーラーは1963年から1993年のシーズンまでベルリン・フィルの第1コンサートマスターをつとめました。カラヤンの録音には何度も登場しています。
  このアルバムには「ルドルフ・コーリッシュによれば真正なヴァージョン」との添え書きがありますがテンポが速いこと以外はほとんど違いは感じません。テツラフがギーレンと録音した原典版とは違いますので、現行版の別ヴァージョンかもしれません。
  シュピーラーの演奏は力強い響きのヴァイオリンで大変素晴らしい演奏です。この時期はベルリン・フィルのコンサートマスターでしたのでオーケストラに負けない力強い音を出しているのでしょう。オーケストラの響きもまた素晴らしく、ドイツのオーケストラらしい重厚さがあります。展開部は速いテンポでぐいぐい進みます。カデンツァは長いクライスラーのもので大変良い響きで素晴らしい演奏です。しかもゆったりとしたテンポです。第2楽章ではソロを誘うホルンの響きが明るいです。ノイネッカーのホルンでしょうか。後半のヴァイオリン・ソロも美しさがあります。第3楽章のロンドはオーケストラの重厚な響きとヴァイオリンの対決が壮大な音楽を作っています。カデンツァは重音の厚みのある響きが素晴らしいものです。
  実に感動的な演奏です。シュピーラーはソロのアルバムは少ないでしょうから大変貴重な名演奏名録音といえます。


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