ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ルッジェーロ・リッチ(1994)
CD(Biddulph Recordings LAW 017)

1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
    (カデンツァ:ベートーヴェン)
2.第1楽章のためのカデンツァ集
  1)フェルディナント・ダーフィト
  2)アンリ・ヴュータン
  3)ヨーゼフ・ヨアヒム(第1版)
  4)ヨーゼフ・ヨアヒム(第2版)
  5)フェルディナント・ラウプ
  6)ヘンリク・ヴィエニャフスキ
  7)カミーユ・サン=サーンス
  8)レオポルド・アウアー
  9)ウジェーヌ・イザイ
  10)フェルッチョ・ブゾーニ
  11)フリッツ・クライスラー
  12)ナタン・ミルシテイン
  13)アルフレート・シュニトケ

 ルッジェーロ・リッチ(ヴァイオリン)
 ピエロ・ベルージ指揮
   キアンティ管弦楽団
  録音 1994年9月19&20日

 ルッジェーロ・リッチのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とカデンツァ集です。
 ヴァイオリン協奏曲ニ長調は前奏から程よいテンポの演奏でヴァイオリンの美音をたっぷり楽しませてくれます。ルッジェーロ・リッチのヴァイオリンは緊張感があり、力強い演奏です。ホールに響き渡るヴァイオリンが素晴らしいものです。そしてオーケストラも見事な演奏です。展開部の演奏も素晴らしいです。再現部はヴァイオリンとオーケストラの厚い響きも素晴らしいです。カデンツァはベートーヴェンのピアノ版からのヴァイオリン編曲です。長大なものでティンパニも入ります。力強い演奏でホール一杯に響きます。実に素晴らしい演奏です。
第2楽章のラルゲットはホルンの響きと共に美しいヴァイオリンが奏でられます。きれいな響きでファゴットとの絡みも聴きどころです。美しさあふれる演奏です。中間部のオーケストラの響きは見事な演奏です。コーダのホルンとの掛け合いもきれいです。終結のカデンツァは短いです。
第3楽章の演奏はよいテンポです。オーケストラと共にヴァイオリンがよく響きます。重音もきれいです。ここでもファゴットとの二重奏が素晴らしいものです。ホルンも良い響きです。カデンツァはここでも力強く豊かな響きを聴かせてくれます。見事な演奏です。そしてオーケストラの整然とした素晴らしい演奏も見事なものです。終結部も素晴らしい演奏です。思わず拍手ですね。

 カデンツァ集は最初のダーフィトがかなり細やかで華麗な演奏です。リッチの演奏は素晴らしいです。
 2つ目のヴュータンは細やかできれいなカデンツァです。主題をきれいにアレンジしています。
 3つ目のヨアヒム(第1版)はヨアヒムの最初のカデンツァです。通常聴かれるのとはかなり違います。でもヨアヒムのカデンツァらしく見事な演奏です。
 4つ目のヨアヒム(第2版)は改めて作成したカデンツァです。これが有名なヨアヒムのカデンツァです。リッチの演奏も素晴らしいです。
 5つ目のフェルディナント・ラウプのカデンツァは主題をうまく使ったものできれいです。リッチの演奏も素晴らしいです。
 6つ目のヴィエニャフスキのカデンツァは重音を多用してきれいな演奏です。リッチのヴァイオリンも素晴らしい演奏です
 7つ目のサン=サーンスのカデンツァはクライスラーのような出だしですが、その後は違います。でもヴァイオリン作品もかなり作曲したサン=サーンスだけにきれいなカデンツァです。
 8つ目のレオポルド・アウアーのカデンツァはハイフェッツも参考にしたものです。このリッチの演奏も素晴らしいです
 9つ目のイザイのカデンツァは細やかできれいなものです。リッチの演奏も素晴らしい演奏です。
 10個目のブゾーニは最近よく演奏されますが、途中からオーケストラが入ります。後半もオーケストラが盛り上げます。見事な演奏です。
 11個目のクライスラーは有名なカデンツァです。最も演奏されています。リッチの演奏も緊張感のある見事な演奏です。
 12個目のミルシテインは名手の自作です。ミルシテイン自身も録音していました。きれいな演奏です。
 最後はアルフレート・シュニトケによります。きれいなカデンツァです。やがて力強い演奏もあって素晴らしい演奏です。最後にティンパニも入ります。長いカデンツァです。見事な演奏です。


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