ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番の演奏

藤川 真弓(1975)
CD(TOKYO FM TFMC-0012)

1.ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op26
2.シベリウス/交響曲第5番変ホ長調Op82
3.  〃   /トゥオネラの白鳥Op22−2

  藤川 真弓(ヴァイオリン)(1)
  渡邉 暁雄指揮東京都交響楽団
  バート・ギャスマン(イングリッシュ・ホルン)(3)
  録音 1975年9月22日(1)
      1974年7月17日(2&3)
      東京文化会館ライヴ

 渡邉暁雄が常任をつとめた東京都交響楽団の定期演奏会のライヴ録音です。藤川真弓は1970年のチャイコフスキー・コンクールで第2位入賞でした。
 ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲同様3つの楽章が切れ目なく演奏されます。序奏のヴァイオリン・ソロはすすり泣くような美しい演奏、主部に入るとオーケストラの厚い響き、艶のあるヴァイオリンで流麗な演奏が聴かれます。静かに続く第2楽章は抒情的な主題がきれいな響きになっています。中間部の主題も美しい。第3楽章の快活な主題も厚みのある響きが聴かれます。第2主題の跳躍的なフレーズも素晴らしい。後半もオーケストラに支えられて素晴らしいヴァイオリンが聴かれます。
 シベリウスの交響曲第5番は渡邉暁雄の得意とする作品です。第1楽章冒頭から大変奥深い響き、ティンパニの絶妙な響きが聴かれます。これは素晴らしい演奏です。中間部のうねるような弦楽も素晴らしい。後半の演奏も良い響きです。第2楽章は弦楽のピツィカートと木管の抒情的な主題、対旋律のような弦楽のフレーズ、この楽章はアンダンテ・モッソ、そしてクアジ・アレグレットと変化します。後半の木管がシベリウス独特の響きを出しています。ホルンとティンパニも良い響きです。終結のテンポの落とし方は感動です。第3楽章は弦楽の刻みとティンパニの序奏に続くホルンの主題が雄大に響きます。木管の哀愁的な主題と続く弦楽の主題が第1主題と重なるのも聴きどころです。この主題が最後まで続きます。最後の6つの和音をテンポを落として劇的に終わっています。
 シベリウスの「トゥオネラの白鳥」は「4つの伝説曲(レミンカイネン組曲)」の第2曲で全曲にわたりイングリッシュ・ホルンが歌う美しい作品です。当日のアンコール作品で、ソロを吹いているギャスマンは当日の演奏会でルーカス・フォスのオーボエ協奏曲を演奏していました。名演です。


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