ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番の演奏

和波 孝禧(1977)
CD(ART UNION ART-3005)

1.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                 ニ長調Op35
2.ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
                 ト短調Op26

  和波 孝禧(ヴァイオリン)
  アナトール・フィストラーリ指揮
  ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
   録音 1977年3月15&16日

 和波 孝禧は1945年生まれの盲目のヴァイオリニストです。フィストラーリとの共演でこの2曲を録音していました。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は第1楽章の序奏のあとのソロから抒情的に歌うところは素晴らしいと思います。ポルタメントがきれいです。チャイコフスキーの協奏曲では歌心も欲しいですが第2主題の表情豊かな演奏がとてもきれいです。展開部の弾むようなヴァイオリンの演奏は素晴らしいものです。カデンツァは力の入る見事な演奏です。通常ピツィカートで演奏するところは弓で弾いています。この長大なカデンツァを素晴らしい響きで演奏しています。再現部の演奏はオーケストラと共に美しい演奏です。第2楽章はカンツォネッタ、弱音器をつけての演奏になります。抒情的な演奏で何とも言えない美しさがあります。オーケストラは弦楽も弱音器を付けていますのでおとなしい響きなります。中間部の木管とのからみは大変素晴らしい演奏です。第3楽章冒頭はヴァイオリンが力強いです。主部は速いテンポで大変素晴らしい演奏です。管楽器との掛け合いも聴きどころです。これは素晴らしい演奏です。
 ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番は冒頭のティンパニ・ソロのあとにヴァイオリン・ソロが抒情的な美しい響き、感動的なヴァイオリンです。主部に入ってもヴァイオリンが素晴らしい響きが流れます。見事な表現力です。フィストラーリの劇的な表現もさることながら和波の音楽性の豊かさを感じます。切れ目なく続く第2楽章は哀愁的な主題が演奏されます。ヴァイオリンがよく響きます。オーケストラも弦楽の響きがきれいです。第3楽章のヴァイオリンは力強い演奏でオーケストラと共によい響きを出しています。これは感動的なブルッフです。名演です。


トップへ
戻る
前へ
次へ