シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

イダ・ヘンデル(1975)
CD(HMV Classics HMV 5 72489 2)

シベリウス/管弦楽作品集
1.序曲「カレリア」Op10
2.ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
3.組曲「カレリア」Op11
4.交響曲第7番ハ長調Op105

 イダ・ヘンデル(ヴァイオリン)(2)
 サー・アレキサンダー・ギブソン指揮
  スコットランド・ナショナル管弦楽団(1)
 パーヴォ・ベルグルンド指揮
  ボーンマス交響楽団(2)
 サー・ジョン・バルビローリ指揮
  ハルレ管弦楽団(3)
 サー・トーマス・ビーチャム指揮
  ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(4)
 録音 1966年(1)
     1975年7月7&8日(2)
     1966年1月(3)
     1955年11&12月(4)

 このアルバムはシベリウスの名曲をそれぞれの名演奏で聴ける贅沢なものです。
 序曲「カレリア」はシベリウスが劇音楽「カレリア」から選んだものでシベリウスの作風がよくわかる作品です。組曲「カレリア」に出てくる主題が聴かれます。ギブソンの演奏は非の打ちどころのない名演です。 
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲はイダ・ヘンデルのソロです。冒頭から胸を打つ演奏です。ヴァイオリンの響きが切なく響きます。ベルグルンドの指揮は完璧でシベリウスの良い響きを出しています。ヘンデルのヴァイオリンは重音の響きも素晴らしく、ヴィオラとの掛け合い、この辺も聴きどころです。オーケストラは奥深い響きがたまりません。ハイトーンで始まるカデンツァは緊張感があり凄い演奏です。聴く方も息がつまりそうです。後半も厚みのある見事な響きです。オーケストラの響きはこちらも素晴らしい演奏です。結尾の響きには驚きます。第2楽章はアダージョ・ディ・モルトです。オーケストラに支えられてヴァイオリンが美しい主題を奏でます。中間部のオーケストラの盛り上がりは素晴らしい響きです。その後にヴァイオリンが緊張感のある演奏をみせます。第3楽章は冒頭からヴァイオリン・ソロが力強く演奏されます。オーケストラは勢いの良い演奏でその響きも素晴らしいです。ヴァイオリンとオーケストラの掛け合いは聴きものです。他では聞けそうもないオーケストラの雄大な響きは絶品です。これは超一流のシベリウスです。イダ・ヘンデルも負けていません。実に素晴らしいヴァイオリンです。
 組曲「カレリア」はバルビローリの演奏で「間奏曲」「バラード」「行進曲風に」の3曲が演奏されています。バルビローリは交響曲の全集も録音しており、シベリウスの管弦楽作品も録音していました。この組曲はシベリウスの作品の中でも有名ですが「バラード」はバルビローリの抒情的な演奏、何度聴いてもよいものです。「行進曲風に」の響きの良さも素晴らしい。
 交響曲第7番はビーチャム/ロイヤル・フィルハーモニーの演奏です。1955年のステレオ初期の録音ですが良い音質で聴くことができます。単一楽章の作品ですが、4つの部分からなり4つの楽章が続けて演奏されるのと同じようなものです。ビーチャムの演奏はイギリス風のシベリウスといっても良いかもしれません。音楽の楽しさを感じます。


トップへ
戻る
前へ
次へ