シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ギドン・クレーメル(1977)
CD(DENON COCO-73298)

1.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.シュニトケ/合奏協奏曲〜2つのヴァイオリン、
  弦楽、ハープシコードとプリペアード・ピアノのための

  ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)(1&2)
  タチアナ・グリンデンコ(ヴァイオリン)(2)
  ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮
   ロンドン交響楽団
   録音 1977年8月12&13日
   ザルツブルク大学大ホール

 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は冒頭から気迫に満ちたヴァイオリンが流れます。力強く響くクレーメルのヴァイオリンいはこの作品に対する思い入れを感じます。オーケストラのピツィカートに続く重音のソロは素晴らしいものです。オーケストラの間奏のあとに入るハイトーンから分散和音の見事なこと、このカデンツァの力強い演奏は完璧です。やはりクレーメルは凄いです。後半もオーケストラに負けない力強いヴァイオリンが流れます。シベリウスの得意なロジェストヴェンスキーのサポートも素晴らしい。第2楽章はアダージョ・ディ・モルト、ヴァイオリンがオーケストラに支えられてよく響いています。中間部の抒情的な主題はオーケストラに続いて演奏されますが、クレーメルのヴァイオリンはかすれることなく鳴り響きます。第3楽章は冒頭の弾むようなヴァイオリンが力強く響きます。オーケストラの間奏のあとのヴァイオリン・ソロも厚い響きが力強く奏でられています。後半もオーケストラに支えられながら重音を完璧に響かせています。素晴らしい名演です。
 シュニトケの合奏協奏曲は2つのヴァイオリン、弦楽、ハープシコードとプリペアード・ピアノのための作品。1977年に書かれています。冒頭にプリペアード・ピアノが響きます。現代作品の響きが流れます。オーケストラの不協和音、2つのヴァイオリンと弦楽の合奏という中にハープシコードの音が入る珍しい作品です。後半に2つのヴァイオリンが長いカデンツァを弾きますが、ピツィカートが大変印象的です。難しい作品ですが聴くほどに耳が慣れてしまいます。ロンドの部分にはハープシコードが響いてバロック作品のような響きにもなりますがコーダはやはりシュニトケの作品らしく不協和音が響きます。そして再びプリペアード・ピアノが響いて静かに終わります。28分を超える大作です。


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