チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ユリア・フィッシャー(2006)
CD(PENTATONE PTC5186610)

チャイコフスキー/ヴァイオリン作品集
1.ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op35
2.憂鬱なセレナードOp26
3.ヴァルス・スケルツォOp34
4.なつかしい土地の思い出Op42
   1)瞑想曲
   2)スケルツォ
   3)メロディ

  ユリア・フィッシャー(ヴァイオリン)
  ヤコフ・クライツベルク指揮
   ロシア・ナショナル管弦楽団(1〜3)
  ヤコフ・クライツベルク(ピアノ)(4)
   録音 2006年4月

 ミュンヘン生まれのユリア・フィッシャーはヴァイオリンとピアノのそれぞれで国際コンクール優勝の経歴を持ちます。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はクライツベルクとの共演です、第1楽章の冒頭から徐々に盛り上げて、ヴァイオリン・ソロに入ります。どちらかと言えばおとなしいヴァイオリンですが美しい響きを奏でるところは見事なものです。オーケストラは整然として厚みのある響きです。カデンツァもきれいな演奏です。第2楽章はヴァイオリンのコン・ソルディーノが良い響きです。第3楽章は冒頭のヴァイオリン・ソロが勢いがあって見事な演奏です。テンポが速いのでその鮮やかなボウイングには驚きます。中間部のオーケストラとヴァイオリンの対話が素晴らしいものです。
  「憂鬱なセレナード」は郷愁漂う旋律が大変美しい演奏です。この作品に秘められた魅力を目いっぱい表現しているようです。
  「ヴァルス・スケルツォ」は楽しそうに軽快なヴァイオリンを奏でています。スケルツォの楽しさがあります。カデンツァも見事な演奏です。
 「なつかしい土地の思い出」は第1曲「瞑想曲」、第2曲「スケルツォ」、第3曲「メロディ」の3つの曲で構成されています。この3曲はグラズノフの編曲でオーケストラ伴奏による演奏もありますが、ユリア・フィッシャーはピアノ版で演奏しています。こちらのほうがヴァイオリンの繊細な表現ができるのでしょう。そしてこのヴァイオリンが素晴らしい響きを出しています。「瞑想曲」の美しさ、「スケルツォ」の劇的な響きと素早いボウイングも聴きどころです。「メロディ」ではチャイコフスキーらしい哀愁的なメロディが美しく歌われます。


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