ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ユリア・フィッシャー(2006)
CD(PENTATONE PTC5186592)

ブラームス/協奏曲集
1.ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
   (カデンツァ:ヨアフム)
2.ヴァイオリンとチェロのための
     二重協奏曲イ短調Op102

  ユリア・フィッシャー(ヴァイオリン)(1&2)
  ダニエル・ミュラー=ショット(チェロ)(2)
  ヤコフ・クライツベルク指揮
   オランダ・フィルハーモニー管弦楽団
     録音 2006年12月(1)
         2005年12月(2)

 ミュンヘン生まれのユリア・フィッシャーはヴァイオリンとピアノのそれぞれで国際コンクール優勝の経歴を持ちます。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲はクライツベルクとの共演です。透明感のある美しい音色のヴァイオリンで歌っています。展開部は緊張感があります。ホルンが歌うところからはヴァイオリンの重音の力強い響きが聴かれます。カデンツァはヨアヒムのもので丁寧に弾いています。強弱をつけた感動的な演奏です。コーダではテンポを落として劇的な効果を生んでいます。第2楽章はオーボエのソロのあとにヴァイオリンが美しい主題を歌い、ホルンとの対話もきれいです。この楽章はヴァイオリンの美音を堪能できます。第3楽章はヴァイオリンの力強い演奏、オーケストラの厚い響きが流れます。美しさと力強さを兼ね備えた名演といえましょう。
 ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲はブラームス晩年の作品、ヨアヒムとの関係修復のために書かれたものです。ヨアヒムの助言を受けながら書かれたこの作品は古今の傑作協奏曲の一つになりました。第1楽章は前奏そしてチェロの重厚なソロのあとに優しい響きのヴァイオリンが挨拶するように入ります。このヴァイオリンとチェロの掛け合いは実に素晴らしいものです。この若い二人の演奏はとても重厚でベテラン演奏家のようです。第2楽章はアンダンテ、オーケストラが歌いヴァイオリンとチェロが仲良く歌うというまるで和解したかのようなそんな思いも感じられます。第3楽章はチェロのソロで始まり、ヴァイオリンが応えるという対話のような楽章です。ダニエル・ミュラー=ショットのチェロが大変素晴らしい響きでこの作品ではチェロも主役というそんな思いも感じられます。名だたる巨匠たちの演奏に比肩する名演といえます。


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