その他のヴァイオリン協奏曲の演奏

エルガー/ヴァイオリン協奏曲/イダ・ヘンデル(1984)
D(TESTAMENT SBT1444)

1.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.エルガー/ヴァイオリン協奏曲ロ短調Op61

  イダ・ヘンデル(ヴァイオリン)
  サー・サイモン・ラットル指揮
   バーミンガム市交響楽団
  録音 1993年9月7日(1)
     ロイヤル・アルバートホール・ライヴ
      1984年2月22日(2)
    ロイヤル・フェスティヴァルホール・ライヴ

 イダ・ヘンデルがラットルと共演したシベリウスとエルガーのヴァイオリン協奏曲です。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は冒頭から緊張感漂う演奏です。ヴァイオリンは気迫に満ちています。ラットルの引き出すシベリウスは良い響きを出しています。ヘンデルのヴァイオリンは重音の響きも素晴らしく、オーケストラもきれいです。ヴィオラの厚い響きとの掛け合いも聴きどころです。重音のソロがまた凄いです。オーケストラのティンパニは素晴らしい響きです。ハイトーンで始まるカデンツァはオクターブ低く始まっています。美しい響きの演奏です。後半は厚みのある見事な響きです。何と言ってもオーケストラの響きが素晴らしい。コーダも見事な演奏です。第2楽章:アダージョ・ディ・モルトではオーケストラと共にヴァイオリンが美しい主題を奏でます。中間部のオーケストラの盛り上がりは雄大な響きになっています。その後にヴァイオリンが緊張感のある演奏を聞かせてくれます。第3楽章は冒頭からヴァイオリン・ソロが力強く演奏されます。オーケストラは厚い響きでシベリウスの雄大な音楽を奏でています。ヴァイオリンは美しい響きでオーケストラとの掛け合いも素晴らしいです。イダ・ヘンデルのシベリウスはさすがに素晴らしい。またラットルの指揮も秀悦です。
 エルガーのヴァイオリン協奏曲はクライスラーに献呈された作品です。第1楽章:アレグロの冒頭からエルガー独特の響きが流れます。「エニグマ」や「チェロ協奏曲」を彷彿させます。そして弦楽の美しい響きも素晴らしいものです。長い序奏があってヴァイオリン・ソロが抒情的な主題を歌います。間奏のあとにヴァイオリンは伸び伸びと歌います。このセレナード風の協奏曲には癒されます。イダ・ヘンデルの演奏も素晴らしい。第2楽章:アンダンテはロマンスを歌うようにヴァイオリンの美しい響きが流れます。第3楽章:アレグロ・モルトは細かいフレーズをヴァイオリンが演奏してオーケストラとの掛け合いがあります。この長い楽章は起伏に富んでおり聴いて楽しくなります。ラットルの指揮も見事なものです。後半のカデンツァは美しい響きが素晴らしい。これは名演奏です。


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