シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヴィルデ・フラング(2009)
CD(EMI TOCE−90179)

1..シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲
                第1番ニ長調Op19
3.シベリウス/フモレスケ第1番ニ短調Op87−1
4.  〃   /フモレスケ第2番ニ長調Op87−2
5.  〃   /フモレスケ第5番変ホ長調Op89−3

  ヴィルデ・フラング(ヴァイオリン)
  トーマス・センデゴー指揮
   ケルン放送交響楽団
   録音 2009年3月11〜13日

 ヴィルデ・フラング(1986〜)はノルウェー出身のヴァイオリニストで、10歳でオーケストラ・デビューを果たしていました。これがデビューアルバムです。
 .シベリウスのヴァイオリン協奏曲はオスロの音楽学校やハンブルク音楽大学で研鑽を積んでからの録音です。フラングの演奏は緊張感がありヴァイオリンもよく響かせています。序奏か聴く者をらうならせるその腕でには驚きます。重音の響かせ方も巧みです。ハイトーンに始まるカデンツァは名だたる演奏家に引けを取らないものでお見事としか言えないものです。後半のオーケストラの響きもよくコーダの迫力も素晴らしい。第2楽章は冒頭のオーケストラの響きがきれいです。ヴァイオリン・ソロは抒情的に歌っています。中間部のオーケストラが厚い響きを出しています。続くヴァイオリンの響きが美しい。第3楽章は冒頭から緊張感があり、弾むようなヴァイオリンが見事です。オーケストラの間奏のあとのヴァイオリン・ソロは気迫に満ちて、厚い響きで力強く演奏されています。後半はオーケストラに支えられながら重音を力強く響かせています。コーダもまた素晴らしい演奏です。将来が楽しみな演奏家です。
 プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番は25〜6歳の作品です。第1楽章:アンダンティーノは冒頭からヴァイオリンのソロがオーケストラと共に歌われます。穏やかな主題の後に躍動感のある主題が歌われます。第2楽章は短いスケルツォ、この演奏はスピード感があり素晴らしいヴァイオリンが響きます。第3楽章はモデラートからアンダンテになります。ヴァイオリンの抒情的な主題と管楽器の響きがきれいです。また特徴的な主題が現れます、そしてハープがきれいに響きます。フラングのヴァイオリンはこの作品によく合います。
 シベリウスのフモレスケ(ユーモレスク)は2つのフモレスケOp87と4つのフモレスケOp89があります。フラングは2つのフモレスケと4つのフモレスケから第3曲(第5番)を演奏しています。この作品はシベリウスのヴァイオリンの小品として愛されています。第1番は穏やかに始まり楽しそうな主題が歌われます。第2番は速いテンポで小刻みに動きまわるような小品です。スケルツォ風の面白さがあります。第5番は快いテンポの作品。民謡調の主題が歌われます。弦楽のオーケストラがまた良い響きです。


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