2000年以後の「春の祭典」

フランソワ=グザヴィエ・ロト/レ・シエクル(2013)
CD(harmonia mundi ASM 15)

1.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
            (1913年初稿)
2.   〃    /バレエ音楽「ペトルーシュカ」
            (1911年版)

  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
  レ・シエクル
  録音 2013年5月14&16日
           9月29日ライヴ

 フランソワ=グザヴィエ・ロトが「春の祭典」の1913年初演時のスコアを使い、当時の楽器で演奏したアルバムです。「ペトルーシュカ」も初演時のスコアを使用しています。
 「春の祭典」は冒頭のバスーン(バソン)のやわらかな響きが現代の楽器との違いを感じますが、序奏から「春のきざし」「誘拐」と聴いていると楽器の違いそのものよりも大変な緊張感が伝わってきて演奏の凄さがわかります。ホルンのソロがありますが古いピストンホルン独特の音が聞こえます。リズムの切れ、パーカッションのうまさは抜群です。「春のロンド」のティンパニ、タムタムの豪快な響きは素晴らしい。ゾクッときます。途中にいきなり間が入るのにびっくりです。「競い合う部族の遊戯」の演奏はあまりに緻密な演奏で迫力を超える凄さを感じます。「賢者の行列」もド迫力。「大地の踊り」も大変興奮させられます。
 第2部の「序奏」の音の厚みは素晴らしい。「若い娘たちの神秘的な集い」ではアルトフルートの低い響きが印象的、ホルンの響きもきれいです。「いけにえの賛美」は速いテンポで進み、大太鼓の音が大きく響きます。「祖先の呼び出しの」ティンパニの強打は叩き方がちょっと違うようですが迫力十分。「祖先の儀式」でのホルンの雄叫びも見事で、「いけにえの踊り」冒頭の弦にはハッとさせられます。「選ばれし乙女」の息をもつかせぬ緊張感は絶賛ものです。最後の一打は絶妙です。
 「ペトルーシュカ」は冒頭からフルートとホルンの鮮やかな演奏が素晴らしい。弦楽の厚みのある演奏と金管の響き、古い楽器と思えないむしろ現代的な響きです。「謝肉祭の日」後半のフルート・ソロは透明感のある響きがきれいです。「ロシアの踊り」はピアノが良く響きます。「ペトルーシュカの部屋」のピアノもきれいです。そして緻密な演奏で緊張感さえ感じられます。コールアングレが良く聞こえます。「ムーア人の部屋」のトランペット・ソロは滑らかで完璧です。続くファゴット、フルート、トランペットの掛け合いは見事です。「謝肉祭の市」は良い響きです。整然とした演奏と管楽器の巧みなこと、中間部のテューバとクラリネットの対話も素晴らしい演奏。「春の祭典」共々「ペトルーシュカ」も絶賛したいと思います。


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