ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

リザ・フェルシュトマン(2010)
CD(CHALLENGE CLASSICS CC72384)

ベートーヴェン/ヴァイオリン作品集
1.ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
      (カデンツァ:ベートーヴェン)
2.ロマンス第1番ト長調Op40
3.ロマンス第2番ヘ長調Op50

  リザ・フェルシュトマン(ヴァイオリン)
  ヤン・ウィレム・デ・フリエンド指揮
    ネザーランド交響楽団
  録音 2010年2月10〜12日(1)
      2010年6月30日〜7月1日(2&3)
 
 リザ・フェルシュトマン(1979〜)はオランダ生まれのヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスやヘルマン・クレバースに師事しています。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は第1楽章の冒頭から重厚な響きが聴かれます。フェルシュトマンのヴァイオリンは艶のある響きで表現力が豊かな演奏です。メリハリをつけたヴァイオリンは聴く者を引き付ける魅力があります。展開部の哀愁的な響き、ファゴットのやわらかい響きはホール一杯に広がります。再現部も美しい響きが流れます。カデンツァはベートーヴェンがピアノ版用に編曲したものをシュナイダーハンがヴァイオリン用にアレンジした版で演奏しています。ティンパニが入りますので力強い演奏になります。フェルシュトマンの演奏はとりわけ素晴らしい響きになっています。第2楽章はラルゲット、序奏ののちホルンとクラリネットに呼応するように美しいヴァイオリンが歌います。中間部のオーケストラもきれいです。第3楽章は軽快なロンドです。オーケストラの重厚な響きがまた素晴らしいものです。ヴァイオリンの力強い演奏、ファゴットとの対話もきれいです。カデンツァは後半の1度だけです。このカデンツァが圧倒で素晴らしい響きです。この演奏は力強さと重厚さを兼ね備えた素晴らしい名演です。
 ロマンス第1番はヴァイオリンのソロで始まる名曲です。打楽器が入らないのでやわらかな響きになります。フェルシュトマンのヴァイオリンは美しい響きでロマンスを奏でます。
 ロマンス第2番はベートーヴェンの傑作といってよいロマンスです。これほど愛らしいメロディもないと思います。フェルシュトマンのヴァイオリンは申し分のない美しい演奏です。


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