チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ユーハン・ダーレネ(2019)
CD(BIS BIS-2440)

1.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
               ニ長調Op35
2.バーバー/ヴァイオリン協奏曲Op14

 ユーハン・ダーレネ(ヴァイオリン)
 ダニエル・ブレンドゥルフ指揮
 ノールショピング交響楽団
 録音 2019年1月

 ユーハン・ダーレネは2000年スウェーデンのノールショピング生まれ。4歳からヴァイオリンを習い始めています。ジャニーヌ・ヤンセンやギドン・クレーメルにも師事しました。2019年のカール・ニールセン国際コンクールでヴァイオリン部門で第1位受賞の逸材です。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は序奏のあとに抒情的になヴァイオリンが朗々と歌います。主部においては繊細で表現力のあるヴァイオリンが素晴らしいものです。展開部は重音を響かせながら熱い表現が聞かれます。カデンツァはヴァイオリンの美しさと力強さに繊細な表現をもみせる見事な演奏です。再現部はオーケストラと共に整然とした演奏でコーダはスピード感と迫力があります。第2楽章の「カンツォネッタ」は弱音器を使うヴァイオリンの響きがやわらかできれいです。この哀愁的な主題を表現力豊かに歌っています。木管との対話が大変きれいです。第3楽章は冒頭のヴァイオリン・ソロで鮮やかな演奏が流れます。メリハリのある素晴らしい演奏です。主部は力強いヴァイオリンとオーケストラの調和のとれた演奏です。中間部でホルンが追いかけるところも良い響きです。木管との対話もきれいです。コーダの勢いのある演奏も素晴らしい。
 サミュエル・バーバー(1910〜1981)のヴァイオリン協奏曲は1941年に初演された作品で、3つの楽章で構成されています。第1楽章はアレグロ、穏やかに始まりヴァイオリンのソロがオーケストラと共に歌われます。この作品は20世紀作品とはいっても古典的で美しい響きが聴きやすいものです。雄大な風景を描いたような素晴らしいい作品です。後半には壮大な響きがあります。第2楽章はアンダンテ、オーボエの抒情的な主題で始まります。ホルンのソロに続いてヴァイオリンのソロが入ると次第に盛り上がります。第3楽章はプレスト・イン・モト・ペルペチュオ、大変忙しく動きまわるような主題が続きます。この楽章はオーケストラも力が入ります。オブリガート・ピアノまで加わって盛大に終わります。これは大変素晴らしい演奏です。


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