ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

アンティエ・ヴァイトハース(2012)
CD(Avi MUSIC 8553305)

.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
      (カデンツァ:ベートーヴェン)
2.ベルク/ヴァイオリン協奏曲
          「ある天使の思い出に」

  アンティエ・ヴァイトハース(ヴァイオリン)
  スティーヴン・スローン指揮
   スタヴァンゲル交響楽団
  録音 2012年3月 ノルウェー /
 スタヴァンゲル・コンツェルトハウス・ライヴ

 アンティエ・ヴァイトハースはドイツのヴァイオリニスト、1987年のクライスラー国際コンクール優勝などの経歴を持つかたわら、アルカント・カルテットの第1ヴァイオリンを務めており、2009年からカメラータ・ベルンの音楽監督もつとめています。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はノルウェーのオーケストラ、スタヴァンゲル交響楽団の壮大な響きに始まります。ヴァイトハースのヴァイオリンも緊張感をもって始まります。この演奏は久々に聴くベートーヴェンらしい壮大な音楽になっています。展開部は美しい響きでファゴットとの対話もきれいです。再現部でもヴァイオリンは厚い響きで歌います。カデンツァはベートーヴェンがピアノ編曲版の為に書いたものをヴァイオリン用にして演奏しています。ヴァイトハースのヴァイオリンは気迫に満ちた演奏で勢いがあります。第2楽章の美しい響き、そして中間部の重厚な響きということありません。コーダのカデンツァも素晴らしい演奏です。第3楽章の軽快なヴァイオリンと重厚なオーケストラの響きが素晴らしい。提示部後のカデンツァも鮮やかです。2つ目のカデンツァはこちらも素晴らしい響きです。この演奏は押しも押されぬ名演といえます。
 ベルクのヴァイオリン協奏曲は2つの楽章で構成されています。マノンという少女の死を悼んで作曲されたレクイエムともいえる作品。12音技法の音楽ですが、この演奏は大変良い響きを出しています。ヴァイオリン・ソロもメリハリのある演奏が素晴らしい。第2楽章の冒頭は壮大な響きになっています。この作品の名演がまた生まれました。


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