ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ロバート・ダヴィドヴィチ(2013)
CD(RPO RPO SP 049)

1.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                    ホ短調Op64
2.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
   (カデンツァ:ダヴィドヴィチ)

  ロバート・ダヴィドヴィチ(ヴァイオリン)
  グジェゴシュ・ノヴァック指揮
   ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 2013年10月9&10日

 ロバート・ダヴィドヴィチはルーマニア出身のアメリカのヴァイオリニスト、ダヴィド・オイストラフに師事してのち、ジュリアード音楽院でガラミアンにも教えを受けています。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は冒頭から驚くほどみずみずしい響きのヴァイオリンで始まります。ノヴァックのサポートもまたオーケストラから良い響きを引き出してくれます。ダヴィドヴィチのヴァイオリンは次第に熱が入ってきます。カデンツァは表現力を駆使した見事なものです。経過部のオーケストラも良い響きです。再現部は美しい響きのヴァイオリンがすばらしい。第2楽章のアンダンテはみずみずしい響きのヴァイオリンが歌います。何とも言えない感動があります。第3楽章は序奏の美しさ、主部に入ってからは跳躍するような主題が木管楽器と重なるところは溶け合うような美しさがあります。ピツィカートも力強い響きです。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は序奏の響きが素晴らしいものです。ヴァイオリンのソロが始まるとダヴィドヴィチのヴァイオリンは美しく、そして力強く歌います。オーケストラの響きとヴァイオリンのバランスも良く、聞き惚れてしまいます。展開部においてはファゴットとの対話も良い響きで、経過部のオーケストラの響きは厚いです。再現部も素晴らしい響きです。カデンツァはダヴィドヴィチ自身のものです。大変よくできたカデンツァです。新鮮さを感じさせるものでヴァイオリンを充分に鳴らし切った素晴らしい演奏です。 第2楽章のラルゲットはホルンとクラリネットとともにヴァイオリンのソロが始まります。管楽器の美しさとヴァイオリンの美しい演奏が流れます。経過部のオーケストラも素晴らしい響きです。後半の弦楽のピツィカートとともに歌うヴァイオリンのソロもきれいです。結尾のカデンツァもオリジナルの見事なものです。第3楽章のロンドは華やかな響きのヴァイオリンで始まります。管楽器との対話は良い響きです。ファゴットもきれいです。カデンツァはオリジナルでこれも素晴らしい演奏です。ダヴィドヴィチの演奏はノヴァックのサポートと相まって素晴らしい名演奏になりました。


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