ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

マリア・ドゥエニャス(2023)

CD(DGG 486 3512)2枚組

CD1
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
  (カデンツァ:マリア・ドゥエニャス)
2.シュポア/ヴァイオリンとハープのための
   コンチェルタンテ第1番ト長調 WoO13より
             第2楽章:アダージョ
3.イザイ/子守歌Op20
4.サン=サーンス/ハバネラOp83
5.ヴィエニャフスキ/伝説曲Op17
6.クライスラー/愛の悲しみ

 マリア・ドゥエニャス(ヴァイオリン)
 フォルカー・ケンプフ(ハープ)(2)
 マンフレート・ホーネック指揮
  ウィーン交響楽団
 録音 2023年1月25〜27日ライヴ(1,3,6)
     2023年1月28日(2,4,5)ウィーン
CD2
7.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
        第1楽章のためのカデンツァ集
  1)ルイ・シュポア
  2)ウジェーヌ・イザイ
  3)カミーユ・サン=サーンス
  4)ヘンリク・ヴィエニャフスキ
  5)フリッツ・クライスラー

 マリア・ドゥエニャス(ヴァイオリン)
 録音 2022年7月22日
  ベルリン、マイスターザール

 マリア・ドゥエニャスによるベートーヴェンの協奏曲と小品集です。カデンツァのみの録音もあります。 マリア・ドゥエニャスは2002年スペイン、グラナダ生まれで、ウィーンを拠点に活躍しています。6歳でヴァイオリンを始め、7歳でグラナダ音楽院、11歳でドレスデンのカール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学に入学。ウィーン市立音楽芸術大学およびグラーツ音楽舞台芸術大学でヴァイオリン教師ボリス・クシュニールに師事。2021年、ユーディ・メニューイン国際コンクールで1位入賞しています。

 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は程よいテンポで始まるオーケストラが重厚できれいな響きです。ヴァイオリンのソロは美音をたっぷり楽しませてくれます。きれいなヴァイオリンで透明感もありホールに響き渡るヴァイオリンが素晴らしいものです。そしてオーケストラも素晴らしい演奏です。展開部の迫力は素晴らしいです。ファゴットとヴァイオリンの絡みもきれいです。再現部も見事な演奏です。カデンツァはドゥエニャス自作のの長大なものです。主題をアレンジした実に素晴らしい演奏です。第2楽章のラルゲットはきれいな序奏に始まります。ホルンの響きと共に美しいヴァイオリンが奏でられます。繊細な響きでファゴットとの絡みも素晴らしい響きです。中間部のオーケストラもよい響きです。ヴァイオリンは大変美しい演奏です。終結のカデンツァも自作で力強い演奏です。第3楽章の演奏もよいテンポです。それだけにヴァイオリンがよく響きます。ここでもファゴットとの二重奏が素晴らしいものです。ホルンも良い響きです。カデンツァはここでもドゥエニャス自作の見事なもので、豊かな響きを聴かせてくれます。そしてオーケストラも整然とした素晴らしい演奏です。名演です。思わず拍手したくなりました。

 シュポアの「ヴァイオリンとハープのためのコンチェルタンテ第1番ト長調」から第2楽章:アダージョはハープに始まります。
そしてヴァイオリン・ソロが入ります。美しいアダージョです。長いヴァイオリン・ソロのあとにハープとオーケストラが
良い響きになってきます。そしてヴァイオリン・ソロになって、やがてハープが入って楽しく終わります。
 イザイの「子守歌」は穏やかな優しい子守歌です。ヴァイオリンが美しい響きです。オーケストラも良い響きです。
 サン=サーンスの「ハバネラ」は名曲です。ヴァイオリンが繊細に歌い始めます。中間部は速いテンポで力強い見事な演奏です。
後半もきれいな演奏です。テンポが変わってますますきれいな演奏です。終結部の美しさは絶品です。
 ヴィエニャフスキの「伝説曲」は管楽器に始まり、やがてヴァイオリンが入ります。弦楽の厚い響きもきれいです。ピツィカートも
良い響きです。そしてヴァイオリン・ソロが力強い演奏になります。ホルンも良い響きです。きれいな作品です。
 クライスラーの「愛の悲しみ」は名曲です。珍しいオーケストラ伴奏ですが、ヴァイオリン・ソロの美しさはたまりません。
ドゥエニャスの好きな作品かもしれません。これは素晴らしい演奏です。

 CD2はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲第1楽章のためのカデンツァ集です。CD1の小品集の作曲家がカデンツァを作成していました。
 ルイ・シュポアのカデンツァは短いです。
 ウジェーヌ・イザイのカデンツァは長いもので見事な演奏です。
 カミーユ・サン=サーンスのカデンツァはクライスラーのカデンツァような出だしですが、パガニーニのように左手ピツィカートも使う見事なオリジナル演奏です。長いカデンツァです。
 ヘンリク・ヴィエニャフスキのカデンツァはオリジナルで重音をたっぷり使う長いものです。ドゥエニャスは見事な演奏です。
 フリッツ・クライスラーのカデンツァは最も演奏される数が多いです。おなじみのカデンツァです。ドゥエニャスは見事な演奏です。彼女は録音の前にこれだけのカデンツァを演奏していたのですね。でも結局は自分のオリジナルカデンツァで演奏していました。


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