ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヴェロニカ・エーベルレ(2022)

CD(LSO Live LSO5094)

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲集
1.ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61
 (カデンツァ:イェルク・ヴィトマン)
2.ヴァイオリン協奏曲ハ長調 WoO5
  〜アレグロ・コン・ブリオ(断片)

 ヴェロニカ・エーベルレ(ヴァイオリン)
 サー・サイモン・ラトル指揮
  ロンドン交響楽団
  録音 2022年3月11&12日

 ヴェロニカ・エーベルレの協奏曲デビュー盤になります。ヴァイオリンは1700年製のストラディヴァリウス「ドラゴネッティ」です。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は序奏の響きが重厚で素晴らしいものです。これぞベートーヴェンです。ヴァイオリンのソロが始まるとヴェロニカ・エーベルレのヴァイオリンは美しく、そして力強く歌います。オーケストラの響きも素晴らしく、ヴァイオリンとのバランスも良く、理想的な演奏です。展開部においてはファゴットとの対話も良い響きで、経過部のオーケストラの響きは厚いです。再現部も素晴らしい響きです。カデンツァはヴィトマンによるものです。ティンパニも入る大変よくできた長いカデンツァです。シュナイダーハンのものとは全く異なるハイテクニックを要する演奏です。途中にコントラバスも入ってきます。驚きの素晴らしい演奏です。第2楽章のラルゲットはホルンとクラリネットとともにヴァイオリンのソロが始まります。管楽器の美しさとヴァイオリンの美しい演奏が流れます。何とも言えない良い演奏です。経過部のオーケストラも素晴らしい響きです。後半の弦楽のピツィカートとともに歌うヴァイオリンのソロもきれいです。結尾のカデンツァもヴィトマンによる見事なものです。長大でピツィカートも入る素晴らしい演奏です。第3楽章のロンドは軽快なテンポでヴァイオリン・ソロが始まります。管楽器との対話は良い響きです。ホルンも大変きれいな響きです。オーケストラも素晴らしい響きです。提示部の最後に短いカデンツァが入ります。展開部のファゴットも大変きれいです。後半のカデンツァはヴィトマンによるもので、ここでもティンパニが入っています。コントラバスも入ります。壮大な素晴らしい名演奏になりました。エーベルレのヴァイオリンは素晴らしい演奏です。名演です。

 ヴァイオリン協奏曲ハ長調はベートーヴェンが20〜22歳の頃に書いた作品です。アレグロ・コン・ブリオだけの断章ですがベートーヴェンの作品の重厚な響きとヴァイオリンの美しい主題が交錯する名作です。エーベルレのヴァイオリンはきれいな演奏です。ラトルの指揮も素晴らしい演奏です。


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