「春の祭典」の演奏

ロバート・クラフト/ソビエト国立交響楽団(1962)
CD(Venezia CDVE04357)2枚組

ストラヴィンスキー・イン・モスクワ1962
CD1
1.ヴォルガの舟歌
2.オード(頌歌)
3.バレエ音楽「オルフェウス」
4.カプリッチョ〜ピアノと管弦楽のための協奏曲
CD2
5.幻想曲「花火」
6.バレエ音楽「ペトルーシュカ」より9曲(1947年版)
7.バレエ音楽「春の祭典」
 タチアナ・ニコラーエワ(ピアノ)(4) 
 イーゴリ・ストラヴィンスキー指揮(1〜6)
 ロバート・クラフト指揮(7)
  ソビエト国立交響楽団(1〜3&7)
  モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団(4〜6)
 録音1962年9月ライヴ(1〜3)(モノラル)
    1962年10月ライヴ(4〜6)(モノラル)
    1962年9月ライヴ(7)(ステレオ)

 1962年にストラヴィンスキーが祖国に帰って演奏した録音です。「春の祭典」だけがロバート・クラフトの指揮です。1962年といえばストラヴィンスキーがCBSに三大バレエを録音して自作の全作品の録音を開始した時期です。ロバート・クラフトはストラヴィンスキーの理解者で全集の録音にもいくつか指揮した作品があります。このプログラムはロシア民謡「ヴォルガの舟歌」の編曲に始まり、オード(頌歌)、ニコラーエワをソリストに迎えたカプリッチョを演奏、ストラヴィンスキーの代表作「春の祭典」と「ペトルーシュカ」の他に「オルフェウス」も演奏しています。
 「ペトルーシュカ」は全曲ではなく「ロシアの踊り」「ペトルーシュカの部屋」と第4場「謝肉祭の市場」だけ収録されています。
「オルフェウス」はソビエト国立交響楽団の演奏ということも貴重な録音です。伝説のピアニスト、タチアナ・ニコラーエワのストラヴィンスキーとの共演も貴重な録音です。
 「春の祭典」はソビエト国立交響楽団が大暴れする希代の演奏です。「誘拐」でのトランペットのタンギングの素晴らしいこと、「春のロンド」におけるタムタムの大音響も凄まじく、暴れるような打楽器に驚きます。「敵対する町の遊び」から「賢人の行列」の
凄まじいこと、リズムのずれもなんのそのでした。「大地の踊り」の大音響は爆演そのものです。第2部の序奏がこれほど緊張感に満ちた演奏もないでしょう。「いけにえの賛美」は直前の和音から一気に入りますが、その緊張感と怒号のような管楽器の雄叫びはなんでしょう。こんなに凄まじい演奏もないでしょう。「祖先の呼び出し」におけるティンパニに強打は「ダンダンダンダンダーン」とういう大音響です。ライヴで聴いたら背筋が寒くなります。「祖先の儀式」ではホルンの強奏よりもさらにトランペットのほうが強烈です。パーカッションも凄い響きです。最後の「神聖な踊りと選ばれた乙女」における打楽器の見事な演奏、弦楽器のスタッカートの鮮やかなこと、大太鼓の大音響も凄まじいです。これ以上ない爆演かもしれません。ディアギレフが喜びそうな「春の祭典」です。


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