惑星の演奏

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1961)

LP(ロンドン GTー9002)
CD(DECCA 452 303−2)

ホルスト/組曲「惑星」Op32
 1.火星(6:56) 2.金星(8:18)
 3.水星(3:53) 4.木星(7:33)
 5.土星(8:28) 6.天王星(5:42)
 7.海王星(7:26)
  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
    ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
     ウィーン国立歌劇場合唱団(7)
  録音 1961年9月5日〜22日

 この録音はカラヤンの1回目の録音でした。そしてホルストの「惑星」を初めて世界に広めたレコードでもありました。1967年に私が吹奏楽で火星を演奏した時はこのカラヤンしか当地のレコード屋さんにはありませんでした。しばらくしてボールトやストコフスキーを手に入れたものです。このLPは1973年に1000円盤が発売された時に購入しました。

  火星は速めのテンポで迫力のある演奏です。管と弦の厚みのある演奏が見事です。カラヤンの棒裁きに圧倒されます。なお、この曲ではテナーチューバが活躍しますが、この録音ではワーグナーチューバで代用したという話があります。金星は冒頭のウィンナホルンの甘い響きがきれいです。このフレーズはスコアを見るとディミヌエンドになっていて驚きます。木管の響きもきれいです。ウィンナオーボエのチャーミングな音がなんともいえません。弦楽器の美しさはウィーン・フィルだけに素晴らしいです。水星は管楽器と弦楽器の抜群のアンサンブルが見事です。チェレスタが光ります。「惑星」の原点を聞いたような気がします。
  木星はテンポが速い演奏です。ここは金管楽器の抜群のうまさが見事でした。第3主題のホルンは速いテンポできつそうです。アンダンテのジュピターのテーマ(第4主題)はやや速いテンポながらもじっくり聞かせていました。なお、提示部も再現部も第1主題の前に間をおかない演奏です。
 土星はアダージョとしては速めの演奏ですが、オーケストラの美しい響きがそれを忘れさせます。特徴的なのは中間部のクライマックスで鐘の音がギンギン鳴ることです。衝撃的な音です。これがこのカラヤンの演奏のシンボルと言えましょう。
  天王星はパーカッションのうまさが魅力です。中間部ではカラヤンの引き出した見事な響きが聞かれます。海王星はフルート、チェレスタ、ハープが絶妙です。まだこの曲が有名でないころにこれほど美しい響きを出していたのには驚きました。後半で聞かれるクラリネットの主題は女声合唱をバックにきれいに響いています。女声合唱は美しい透明感のある響きを最後まで聞かせています。

 このウィーン・フィルの演奏はノンヴィブラート奏法がイギリスのオーケストラと同じことから違和感のないものになっています。今聞いてもトップクラスに挙げたい演奏です。


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