ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ナタン・ミルシテイン(1950.3.16)
CD(TAHRA TAH-449)

1.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
         (カデンツァ:ミルシテイン)
2.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
 ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)(1)
  ヴィクトール・デ・サバタ指揮
   ニューヨーク・フィルハーモニック
     録音 1950年3月16日
      カーネギー・ホール・ライヴ

 ミルシテインのブラームスは46歳の時の演奏でした。ポルタメントを使う演奏です。アウアーがロシア時代に教えた最後の弟子がミルシテインでした。この演奏ではミルシテイン自作の長いカデンツァが演奏されます。第2楽章でも管楽器との対話でポルタメントを使いながらロマンティックな演奏を聴かせています。 
 サバタの「運命」は第1楽章の冒頭のテーマをしっかり強調してフェルマータもたっぷり伸ばしています。また少し間をおいてから次のフレーズに入っています。展開部では強弱をはっきりとつけた演奏になっています。オーボエのカデンツァはまさにアダージョでゆったり吹いています。再現部のファゴットのファンファーレはホルンに吹かせています。コーダ前のテーマも強調していました。
 第2楽章は冒頭の主題が静かに始まりクレッシェンド効果を大きいものにしています。ffは大きな音量になっています。木管四重奏は良い響きを出しています。第3変奏の木管は8分音符を短く演奏しています。そのあとのクライマックスは良い響きになっています。
 第3楽章は冒頭のリタルダンドのフェルマータを長く伸ばしています。ホルンの主題は大きく響いています。トリオのフーガは見事な演奏です。
 フィナーレはゆったりと重厚な響きを出していてホルンの音もよく響いています。展開部のフルートはきれいでした。第3楽章の回想ではオーボエがきれいで、再現部は冒頭と同様見事な響きです。コーダに入るとホルンの主題からピッコロの響き、プレストでは382小節から385小節のヴァイオリンとヴィオラのりズムの刻みの鮮やかなことなど見事です。一気に終結部まで進む圧倒的な演奏でした。


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