ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

エリカ・モリーニ(1953)
CD(TAHRA KDC7005 TAH546)

.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
    (カデンツァ:ヘールマン)
2.ブラームス/交響曲第2番ニ長調Op73

  エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)(1)
  ブルーノ・ワルター指揮
   ニューヨーク・フィルハーモニック
   1953年12月20日録音(1)
   1951年2月4日録音(2)
  
 ワルターのブラームスは定評があります。このアルバムはニューヨーク・フィルのライヴから51年の交響曲第2番と53年のモリーニとのヴァイオリン協奏曲が収録されています。
 モリーニのブラームスは前年の1952年にセルと同じニューヨーク・フィルで演奏しており、ロジンスキーとのステレオ録音が残っていますが、このワルターとの共演は凄まじい気迫に満ちた演奏でした。聴衆が興奮のあまり、第1楽章、第2楽章の終わりにも拍手をしています。この演奏でモリーニの集中力の凄さに驚くのは第1楽章の途中10分59秒でヴァイオリンの弦が切れてしまい、即座にコンサートマスターの楽器と交換して演奏に戻るのですが、この間3秒で、すぐに演奏を続けています。よく聴くと10分57秒の時に弦の異常な音が聞こえます。切れる寸前の音でした。交換した楽器の音色の違いもわかります。それにしても何事もなかったように演奏しており、カデンツァ(へールマン作)も気迫に満ちています。聴衆が拍手したくなるのもよくわかります。
 交響曲第2番はニューヨーク・フィルとのスタジオ録音も名盤として知られていました。このライヴも同様に素晴らしい演奏です。第2楽章で聴かれる幻のポルタメントはワルターらしい解釈で聞き逃せないでしょう。ホルン・ソロもきれいです。


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