ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

グィラ・ブスタボ(1963.2.12)
CD(melo CLASSIC MC 2005)

1.パガニーニ〜ウィルヘルミ編
    ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調
2.サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ
3.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
         (カデンツァ:クライスラー)

  グィラ・ブスタボ(ヴァイオリン)
  ロベルト・ヘーガー指揮
   ミュンヘン放送管弦楽団(1&2)
  オトマール・ヌッシオ指揮
    スイス・イタリア放送管弦楽団(3)
  録音 1959年1月28日(1&2)
      1963年2月12日(3)

 グィラ・ブスタボ(1916〜2002)はアメリカ出身のヴァイオリニストです。20代にドイツで演奏したことが原因でしばらく逃亡生活になったそうです。戦後になってようやく演奏を始めたようです。
 パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番はウィルヘルミの編曲で第1楽章のみの演奏ですが、クライスラーの編曲とは違ってオーケストラの部分も編曲していて序奏部分はオリジナルとは全く違うものです。そして序奏は短いです。またソロ・パートにもかなりの手が入っています。あきらかにウィルヘルミの編曲は自分の演奏しやすいようにう書き換えたことは間違いないようです。ブスタボの演奏は文句なしで素晴らしいものです。カデンツァも見事な演奏です。
 サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソOp28」はヴァイオリンの技巧的な作品として有名です。ブスタボの鮮やかなテクニックが聴かれます。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲は1963年にスイスのイタリア放送局のスタジオで演奏されたものです。ブスタボの演奏は第1楽章のソロから気合が入っています。たっぷり音を伸ばしながら歌う様子は他には見られません。このブラームスはずっと温めてきたこの作品に対する思いが爆発したような演奏です。たっぷりと歌う時にはポルタメントもかけています。それにしても楽器がよく響きます。展開部の豊かな響きも素晴らしいものです。カデンツァはクライスラーのものを弾いています。この技巧的なカデンツァをブスタボは完璧に演奏しています。コーダのヴァイオリンもまた素晴らしい響きを出しています。第2楽章はオーボエのソロが歌われヴァイオリンと管楽器の対話があります。ブスタボはポルタメントをかけながら歌います。すすり泣くようなヴァイオリンは感動的です。やはりこの曲は第2楽章が聴かせどころです。
第3楽章はやや遅めのテンポで歌っています。ヴァイオリンを十分に響かせるには良いテンポです。ブスタボのブラームスは41分以上かかる遅いテンポですが歌うブラームスは良いものです。


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