惑星の演奏

サー・エードリアン・ボールト/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1966)

CD(Waner WPCS−13269)
LP(EMI Angel  AA-8236)

ホルスト/組曲「惑星」Op32
1.火星(7:10) 2.金星(8:47)
3.水星(4:00) 4.木星(7:57)
5.土星(9:05) 6.天王星(6:22)
7.海王星(7:00)

  サー・エードリアン・ボールト指揮
  ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
  アンブロジアン・シンガーズ女声グループ(7)
  録音 1966年7月21&22日
      キングスウェイ・ホール

 ボールト5度目の「惑星」で77歳の時の録音でした。ボールトの代表的な「惑星」です。
 「火星」はやや遅めのテンポの演奏ながら大変緻密な演奏で、オーケストラの遠近感まで感じさせる録音です。金管の迫力は抜群です。弦と管が作り出す火星の響きの代表的な演奏です。打楽器は強くはありません。
 「金星」は美しいアダージョです。ホルン・ソロが大変きれいです。弦楽とハープの響き、ヴァイオリン・ソロとボールトならではの美しさが素晴らしい。オーボエの哀愁的な響きなど、この「惑星」の最大の聴き所です。
 「水星」は速いテンポのスケルツォです。楽器のバランスがよくて音楽の流れによどみはなく実に流麗な演奏です。これぞ「水星」という完璧な演奏です。
 「木星」は快適なアルグロ・ジョコーソ、ボールトならではの演出が聞き物。第2主題前に入る直前の間、第3主題のホルンの響きの美しさ、またジュピターの主題は優雅に美しく、ホルンと弦楽の融合が素晴らしいです。再現部の第2主題もテンポアップが見事です。
 「土星」の序奏は低弦の響き、ヴァイオリンとヴィオラの透明感のある響きと素晴らしい。金管のコラールもきれいです。中間部のクライマックスでは鐘をきれいに響かせていて迫力は十分です。
 「天王星」は冒頭金管の和音とティンパニの強打が見事です。管楽器と弦楽器の流れも完璧です。パーカッションもよく響いてこれぞ「天王星」の響きといえます。ホルンと弦楽の主題も美しさも見事です。
 「海王星」は大変静かに始まり、フルートの神秘的な響きが美しいです。木管楽器のアンサンブル、ハープとチェレスタの響きが神秘的です。クラリネットの主題もきれいです。女声ヴォカリーズの透明感のある美しい響きはオーケストラに負けない素晴らしさがあります。消え行くところはたまりません。
 ホルストの「惑星」を十分に満喫できる演奏です。


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