惑星の演奏

レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック(1971)

LP(CBS SONY SOCZ117〜119)
CD(SONY CLASSICAL SMK47567)

ホルスト/組曲「惑星」Op32
 1.火星(6:30) 2.金星(9:30)
 3.水星(3:51) 4.木星(8:13)
 5.土星(8:47) 6.天王星(5:18)
 7.海王星(8:20)

  レナード・バーンスタイン指揮
    ニューヨーク・フィルハーモニック
         女声合唱団(7)
  録音 1971年11月30日&12月7日
      1973年6月7日(オルガンのみ)

 この録音は本来SQ4チャンネル録音です。LPのほうが奥行きのある臨場感豊かな音を鑑賞できます。CDは音質がよくなっていますが、味わい深いのはLPのほうです。オルガンだけ別に録音したのはこのSQ4チャンネル録音で臨場感豊かにするためでしょう。オルガンを重ねて録音していました。これは火星ではっきり効果が現れています。(CDではわかりません
  演奏は火星では速いテンポでぐいぐい引っ張っていきます。管楽器のリズム感は最高です。パーカッションは実に凄い鳴らし方です。後半でオルガンがよく聞こえてきました(ただしこれはLPだけです)。ではテンポを遅くしてアダージョの美しさをたっぷりと聞かせています。ホルンのソロはいうことありません。金星の演奏時間としては最も遅いほうです。ヴァイオリン・ソロがとても美しいです。水星は管楽器と弦楽器のバランスが見事です。ハープとチェレスタがよく響きますが、これもLPのほうがきれいです。
  木星はやや速めのテンポで始まります。第2主題の前にリタルダンドをかけています。第3主題のホルンはゆったりと歌わせています。アンダンテのジュピターのテーマもゆったりと抒情的に歌っています。再現部も見事な演奏でした。
 土星はやや速いテンポの演奏です。金星の演奏時間よりも土星の演奏時間が短いという例はほとんどないでしょう。中間部のクライマックスで鐘が効果的に響いています。(なお、この鐘はLPのほうが派手に聞こえています)。
  天王星では冒頭の金管の和音は良かったのですが、続くティンパニがややおとなしいです。管楽器による第3主題は見事です。中間部ではティンパニの活躍が聞き所です。コーダ前とコーダのオルガンはよく響いています。
 海王星は遅めのテンポで神秘的な音づくりをしています。チェレスタとハープが絶妙です。後半から聞かれる女声合唱を思い切って抑えて神秘的な和音を聞かせてくれます。チェレスタの響きが美しいです。女声合唱は静かに聞こえて、やがてオーケストラと共に消えていきます。これはLPのほうが見事でした。バーンスタインの演奏は女声合唱を主役にしないで抑えている珍しい演奏です。

 この録音はきれいに化粧した惑星のLPと化粧を落とした惑星のCDの聞き比べになってしまいましたが、LPはSQ4チャンネル録音ですからこれは価値ある演奏です。


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