惑星の演奏

ジェームズ・ロッホラン/ハルレ管弦楽団(1975)
CD(EMI CD-CFP 4243))

1.ホルスト/組曲「惑星」Op32
  1)火星 2)金星
  3)水星 4)木星
  5)土星 6)天王星
  7)海王星

  ジェームズ・ロッホラン指揮
    ハルレ管弦楽団
     ハルレ女声合唱団(7)
   録音 1975年7月

 スコットランド出身の指揮者ジェームズ・ロッホランの「惑星」です。バルビローリ亡きあとにハルレの首席指揮者に就任していました。70年の来日はバルビローリの代役でしたが、そのロッホランのレコードで初めて日本に登場したのがこの「惑星」でした。当時はあまり評判にはなりませんでしたが、改めて聞きますと大変よくできた演奏です。
 「火星」は冒頭からパーカッションの活躍が大きい演奏です。弦楽のコルレーニョを抑えて、ゴング(タムタム)の長大なトリルを劇的に表現しています。壮大な音楽になっています。テナー・チューバがまたきれいです。コーダは迫力があります。
 「金星」は冒頭のホルンの響きが大変きれいです。ノンビブラートのホルンの美しさがあります。弦楽のカンタービレ、ヴァイオリン・ソロの美しさなど、ボールトを聞いているかのようです。弦楽の透明感、木管楽器、ハープの美しさも素晴らしい。「水星は管楽器のアンサンブルが聞きものです。グロッケンの響きもきれいです。
 「木星」は弦楽の厚みのある演奏が素晴らしい。弦楽とホルンの第2主題、ホルンの第3主題は大変良い響きです。第4主題「ジュピターの主題」は弦楽とホルンが作り出す雄大な響きが素晴らしいです。
 「土星」の序奏部では弦楽の透明感のある演奏がきれいです。中間部のクライマックスでは鐘がギンギン響きます。金管楽器の迫力は満点です。「天王」は冒頭の金管の和音とティンパニの強打が見事です、ファゴットの第1主題からホルンと弦楽器の第2主題も素晴らしいです。
 「海王星」は冒頭のフルートの神秘的な響き、木管楽器のアンサンブル、ハープとチェレスタの響きが素晴らしい。クラリネットの主題がきれいに聞こえています。続く弦楽の響きから女声合唱団の美しいコーラスも聞きものです。
 EMIとしては70年代にプレヴィンの録音があって次いでロッホラン、78年にはボールト5回目の録音がありましたので陰に隠れた録音でしたが、大変完成度の高い名演としてお勧めしたい演奏です。


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