惑星の演奏

冨田 勲(シンセサイザー版)(1976)

LP(RCA RVC2111)
CD(RCA RD81919)

 ホルスト/組曲「惑星」Op32
  1)火星 2)金星
  3)水星 4)木星
  5)土星 6)天王星
  7)海王星

  冨田 勲(シンセサイザー)
  録音 1976年

 冨田勲がモーグ・シンセサイザーを使って完成した最大の傑作が「惑星」でしょう。当時は一音一音作りながら多重録音を重ねて制作していましたので大変な作業だったことでしょう。この「惑星」は単なる編曲ではなく宇宙旅行を兼ねた表現があります。
 「火星」の前に「木星」の主題が現れ、やがてアポロ宇宙船の打ち上げを再現したような秒読みの部分があり、ロケットの噴射を再現した音声があってから「火星」が始まります。「火星」は多彩な表現で宇宙旅行をしている気分になることでしょう。また次の惑星に移る時には惑星旅行の音楽が間奏曲のようにはいるところが面白いです。「金星」から「水星」へ、そして遠い「木星」に飛ぶまでに長い間奏があります。
 「木星」の第4主題「ジュピターの主題」は遠くから合唱のように聞こえてくるという演出、また衛生通信の音声が挿入されユニークなことこの上ないでしょう。ただし、かなりのカットがありますし、「土星」までの長い宇宙旅行は風の吹く音のようです。
 「土星」はかなり自由な表現が多いです。主題が出てきても遠近感のある表現は大きな「土星の輪」が見えるようです。「土星」から「天王星」までの間奏は宇宙船が飛ぶようです。「天王星」は2分ほどで切れめなく「海王星」に入ります。「海王星」のような神秘の音楽はシンセサイザーの独壇場でしょう。チェレスタの表現はぴったりです。女声合唱までリアルな音に聞こえてきます。多重録音の絶妙な音は絶品。最後に木星の主題が出て終わります。


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