ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ギラ・ブスタボ(1943)
CD(VIRTUOSO 70003)2枚組

CD1
1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
2.ブラームス/交響曲第1番ハ短調Op68
CD2
3.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
      (カデンツァ:クライスラー)
4.ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op26

  ヘルマン・アーベントロート指揮
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1&2)
  ギラ・ブスタボ(ヴァイオリン)(3&4)
  ウィレム・メンゲルベルク指揮
   アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(3&4)
   録音 1937年11月22日(1)
       1941年4月3日&7月29日(2)
       1943年5月6日ライヴ(3)
       1940年10月27日ライヴ(4)  

 アーベントロートの運命です。このアルバムには1939年録音となっていますが1937年11月22日の録音と同じです。
 第1楽章はしっかりと運命の主題を強調したものです。弦の刻みはきびきびとしています。それに対し第2主題はポルタメントをかけてなめらかに演奏していました。展開部では弦と管の対話で少しテンポを落としています。再現部では弦のレガートがこれまたきれいです。メリハリのはっきりした演奏です。コーダでは運命の主題をしっかり強調しています。
 第2楽章は穏やかな主題がきれいです。管楽器も美しく、申し分ありません。第3楽章は序奏のあとでホルンがテンポアップで主題を吹いています。フーガはアウフタクトで強調してからテンポアップという面白い技を披露しています。第4楽章はやや速めのテンポで進みます。提示部でホルンと木管のファンファーレで音を引っ張る難しい技が印象的です。再現部でも同じでした。コーダの盛り上がりは抜群です。歓喜の歌が大きく響きます。プレストは一気に終結まで歌い上げていました。 なおトラック3が第4楽章の提示部に32秒ほど入り込んでいます。
  ブラームスの1番はライプツィヒ放送交響楽団の録音同様ロマンティックな演奏で、弦のポルタメントガ随所に入ります。フィナーレのコーダでテンポを落とすのはライプツィヒ放送の録音と同じです。
 ギラ・ブスタボは伝説のアメリカの女流ヴァイオリニストです。録音が少なくこのアルバムにはベートーヴェンとブルッフの協奏曲が収録されており貴重です。ブスタボのヴァイオリンは透明感のある美音で独特のボウイングできれいなビヴラートが素晴らしい。またレガートとポルタメントが絶妙です。展開部のソロはすすり泣くような演奏に感動します。なおメンゲルベルクの指揮は極端なテンポの変化はなくポルタメントを時折使う程度で、しっかりブスタボのサポートをしています。カデンツァはパワフルで緊張感がただよう素晴らしい演奏です。第1楽章が終わると絶大な拍手があります。第2楽章はブスタボの美音をたっぷり堪能できましょう。第3楽章前へのカデンツァにはブスタボの即興が入ります。なお第3楽章の提示部までがトラック2になっています。第3楽章のカデンツァは凄い演奏で背筋が寒くなります。
 ブルッフの1番ですが冒頭のティンパニがカットされています。ブスタボのヴァイオリン・ソロは力強く朗々と始まります。主部に入ると力の入る重音が響きます。レガートとポルタメントを駆使した演奏が続きます。第2楽章が終わると絶大な拍手が入ります。そしてメンゲルベルクが指揮棒で譜面台を叩いて第3楽章が始まります。ブスタボのポルタメントをかけたヴァイオリンが素晴らしい。まさに熱気のこもった演奏です。なおこの曲は1トラックになっています。


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