ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ダヴィッド・オイストラフ(1969.5月)

CD1(EMI TOCE-3079)
CD2(EMI TOCE-59049)

 ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
         (カデンツァ:ヨアヒム)
   22:28/9:33/8:27(計40分28秒)

  ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
  ジョージ・セル指揮
   クリーヴランド管弦楽団
   1969年5月録音

 オイストラフはセル/クリーヴランドとの共演でブラームスの2つの協奏曲を録音しました。この協奏曲ともう1曲はロストロポーヴィチとの共演で二重協奏曲でした。
 ヴァイオリン協奏曲は9年ぶりのスタジオ録音でありますが、期せずしてクレンペラー盤とほぼ同じような40分を超える演奏時間となりました。その間のライヴは速めのテンポでありながらスタジオ録音では一音一音丁寧に演奏しているかのようです。クリーヴランド管弦楽団の演奏は緻密であり室内楽団のようにきっちり統率されているだけにともすれば雄大にはきこえてきません。しかしながら逆にオイストラフの大きな音楽のサポート、引き立て役に徹したかのようでこれがこの名演の大きな要因かもしれません。クレンペラー盤ではオーケストラとの融合の素晴らしさがありましたが、こちらは対等の素晴らしさでしょう。オイストラフのヴァイオリンが自由に縦横に歌われています。重音の響きは見事です。カデンツァ前のクライマックスは感動的、カデンツァの演奏はかつてないほどの集中力で仕上がっています。
 第2楽章の序奏はオーケストラの最高の美しさがあります。オイストラフのポルタメントをかけたソロが入ると我を忘れそうな響きになってきます。耳を休めたくなる緩徐楽章が最大の聞き所となるのもこの曲の魅力です。第3楽章はどっしりと構えた演奏であり、このコンビの極めた最高の響きでしょう。聞くたびにこの演奏の良さがわかります。
  この演奏はクレンペラー盤と双璧でしょう。ブラームスのヴァイオリン協奏曲の真髄ここにありといえる名演。


トップへ
戻る
前へ
次へ