ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ダヴィッド・オイストラフ(1954)
CD(TESTAMENT SBT1032)

1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
     (カデンツァ:クライスラー)
2.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47

  ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
  シクスティン・エールリンク指揮
     ストックホルム祝祭管弦楽団
    1954年6月10&11日録音
        (モノラル録音)

 オイストラフ45歳のときの録音です。ベートーヴェンの協奏曲はガウク、アーベントロートに次いで3度目の録音ですが、モノラルとしては最良の音質です。第1楽章のソロが始まったときからオイストラフの世界に吸い込まれてしまいます。これほど神々しい演奏はあるのだろうかと思うほど、きれいで透明感があり深みのる響きは鑑賞の域を超えて音楽の旅に出たような錯覚に陥ります。カデンツァの素晴らしさは何もいうことありません。完璧な無伴奏ヴァイオリン作品です。第2楽章のホルンに続くヴァイオリンの素晴らしさはもったいないほどきれいです。第3楽章への経過部のカデンツァはオイストラフのアレンジがあり注目です。第3楽章の第2主題、ファゴットとの対話など実にきれいです。カデンツァも素晴らしい。
 シベリウスの協奏曲はエールリンクのサポートで壮大な音楽を作っています。この曲はオーケストラの響きとソロが作り出す響きがマッチしないと満足できませんが、この演奏は申し分ありません。オイストラフの巨大な音楽とエールリンクの引き出すシベリウスの響きが相乗効果を生み、大変な名演になりました。第1楽章の最初の短いカデンツァが凄い、後半のカデンツァの気迫も凄いものです。第2楽章はソロまでのオーケストラはシベリウス独特の響きがきれいです。第3楽章のヴァイオリンの弾む演奏が素晴らしい。ステレオ録音の名盤と双璧です。


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